医知創造ラボ|脳卒中急性期管理

脳出血急性期の血圧管理と降圧目標

なぜ140未満を目指し、110未満を避けるのか【INTERACT / ATACH-2】

本日の重要メッセージ

脳梗塞(下流虚血維持のため下げない)と異なり、脳出血では破綻血管からの活動性出血を止めるため早期に「収縮期血圧 140 mmHg 未満」を目指します。ただし、「110 mmHg 未満への過度な急速降圧」は腎障害等の臓器虚血を招くため避けるのが鉄則です。

1. 2大臨床試験の結論(INTERACT2 vs ATACH-2)
INTERACT2 試験(NEJM 2013)
mRS 良好改善 (p=0.04)

発症6時間以内の2,839例。積極降圧群(目標 SBP < 140)で良好な機能回復へ有意にシフト。死亡率や重篤な有害事象を増やすことなく積極降圧の安全性が確立された。

ATACH-2 試験(NEJM 2013 / 2016)
腎障害 9.0% vs 4.0%

発症4.5時間以内の1,000例。超積極降圧群(目標 110〜139)では予後改善が得られず、7日以内の腎有害事象が有意に増加(p=0.002)。無益性のため早期中止となった。

2. 実務上の3つの重要ポイント
TARGET WINDOW
目標 130〜140 mmHg
140未満を目指しつつ、110〜120未満の過度降圧を避ける狭い安全域を平滑に維持。
DRUG OF CHOICE
ニカルジピン持続静注
シリンジポンプで漸増・漸減。血圧変動性(BPV)が大きいと予後不良リスクが1.41倍。
CARE BUNDLE
4要素の包括的介入
早期降圧+血糖管理+体温管理+抗凝固中和(ケセントラ・オンデキサ等)を同時実施。