再灌流療法の有無で変わる、降圧の判断
分かれ目は再灌流療法をするのか、したのかです。
そして再開通したあとは、下げすぎないことのほうが重要になりました。
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| 場面 | 推奨されること | 推奨度 |
|---|---|---|
| 再灌流療法を行わない | 降圧は勧められない | 推奨度D/高 |
| 血栓溶解療法を行う | 185/110 mmHg 未満へ降圧 | 推奨度A/低 |
脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕。推奨度とエビデンスレベルは別の軸です。
急性期の虚血巣では脳血流の自動調節能が破綻し、
脳灌流圧が全身血圧にそのまま依存します。
血圧を下げれば、ペナンブラの灌流も一緒に落ちます。
一方で高すぎる血圧は、出血性変化と脳浮腫を助長します。
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血栓溶解療法の適応可否を分ける、
降圧療法後の血圧の線
rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法 適正治療指針 第三版(2019年3月・追補2023年9月)
| 時期 | 血圧の扱い | 測定間隔 |
|---|---|---|
| 投与前 | 185/110 mmHg 未満へ下げてから開始 | ― |
| 投与後 2時間まで | 180/105 mmHg 以下を保つ | 15分ごと |
| 投与後 2〜8時間 | 180/105 mmHg 以下を保つ | 30分ごと |
| 投与後 8〜24時間 | 180/105 mmHg 以下を保つ | 1時間ごと |
rt-PA適正治療指針 第三版 表13。血栓回収療法のあとも、アルテプラーゼ投与後の管理に準じます。
| 薬剤 | 持続静注の用量 | 注意点 |
|---|---|---|
| ニカルジピン | 0.5〜6 μg/kg/分 | 頭蓋内圧亢進例では要注意 |
| ジルチアゼム | 5〜15 μg/kg/分 | 徐脈・房室ブロック・洞停止 |
| ニトログリセリン | 5〜100 μg/分(要遮光) | 耐性が生じやすい |
脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕表14。
用量と目標値の最終判断は、各施設のプロトコルと添付文書に従ってください。
脳梗塞急性期は 185/110 mmHg を目標に降圧する
185/110 は血栓溶解療法の
適応可否を分ける線です。
降圧の目標値ではありません
再灌流療法を行わない症例の考え方は、第4章で扱います。
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血栓回収療法の最中と回収後に、
収縮期血圧を下回らせない目安
脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕(推奨度E・エビデンスレベル中)
| 試験 | 強化群の目標 | 主要な結果 |
|---|---|---|
| ENCHANTED2/MT | 120 mmHg 未満 | mRS OR 1.37(1.07–1.76) |
| OPTIMAL-BP | 140 mmHg 未満 | 良好転帰 39.4% 対 54.4% |
| BEST-II | 140/160/180 | 無益性の基準を満たさず |
| BP-TARGET | 100–129 mmHg | 頭蓋内出血 42% 対 43% |
目標はいずれも収縮期血圧。mRS はシフト解析、良好転帰は mRS 0–2。
ENCHANTED2/MT と OPTIMAL-BP は安全性のため早期中止。
強化降圧群で機能的自立に至る割合の比
95%信頼区間 0.67–0.98
Ghozy S, et al. JAMA Netw Open. 2024(血栓回収後の4試験1,571例のメタ解析)
差が出なかったのだから、強化降圧をしても構わない
BEST-II は第2相で、無益性の基準を満たさず
BP-TARGET は頭蓋内出血に差がなく、
低血圧が 8% 対 3% でした
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これを超えて持続する場合に、
慎重な降圧を考慮する目安
脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕(推奨度C・エビデンスレベル低)
| 試験 | 降圧の程度 | 主要な結果 |
|---|---|---|
| CATIS | 24時間で 9.1 mmHg 差 | 死亡・高度障害 OR 1.00(0.88–1.14) |
| SCAST | 7日目 147 対 152 | 血管イベント HR 1.09(0.84–1.41) |
| メタ解析 | ― | 3か月の不良転帰 RR 1.04(0.96–1.13) |
CATIS n=4,071/SCAST n=2,029/メタ解析は13試験 12,703例。
SCAST の common OR 1.17 は、事前設定の有意水準 0.025 に届きませんでした。
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もともと飲んでいた降圧薬は、神経症状が安定していれば
発症24時間以降に再開を考慮します。
ENOS では継続群と中止群で90日転帰に差はありませんでした(OR 1.05)。嚥下障害があれば、内服自体が危険です。
220/120 mmHg を超えるまで降圧しません。
投与前 185/110 未満、
回収後は 140 を
割りません。
症状が安定していれば、もとの薬を戻します。
日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕
改訂項目. 2025.
日本脳卒中学会. rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法 適正治療指針
第三版. 2019(追補2023).
Prabhakaran S, et al. Stroke. 2026;57(8):e316-e436.
全19件の参考文献は、概要欄のブログ記事に掲載しています。
ご視聴にあたってのお願い
この動画は医療従事者向けの一般的な情報提供
であり、個別の診断・治療方針を
示すものではありません。
実際の判断は患者の状態と各施設のプロトコルに基づいて行ってください。
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