医知創造ラボ

手のしびれは、夜の装具から

手根管症候群のセルフケアと、手術に送るタイミング

医知創造ラボ 監修:脳神経内科専門医 外来指導シリーズ #14
今日のテーマTODAY'S POINT

手のしびれは“様子見”より
装具と、見極め

結論

保存療法の柱は夜の中間位スプリント母指球のやせ・力の低下は、手術を考えるサインです。

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この動画の流れAGENDA

今日おさえる3つのこと


1
保存療法の柱=夜の装具手首をまっすぐ保つ中間位スプリント。まず夜から3〜4週間
2
運動・注射の位置づけ運動は補助、注射は「時間を買う」。エスカレーションの順番
3
手術に送るサインと、伝え方母指球萎縮・持続しびれ・筋力低下。外来でそのまま使う説明例
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CHAPTER 01
第1章

保存療法の柱=夜の装具

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まず知っておくMEDIAN NERVE

手のしびれは、手首の中で
神経が押されて起きる


手根管症候群は、手首のトンネル(手根管)で正中神経が圧迫される病気です。親指〜中指がしびれ、夜から明け方に強く、手を振ると楽になるのが特徴です。

📋 ここだけ覚えればOK

しびれは「血行の問題」ではなく神経の圧迫。保存療法の柱は夜の装具です。

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よくある誤解HOW TO SPLINT

装具はまっすぐ保つタイプを

Q

手首を反らせて固定する装具でもよい?

A

いいえ。手首を反らせるタイプはかえって神経を圧迫します。まっすぐ(中間位)に保つタイプを、まず夜だけ3〜4週間つけて効果をみましょう。

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CHAPTER 02
第2章

運動・注射の位置づけと、手術の見極め

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運動の位置づけEXERCISE IS ADJUNCT

手の運動・神経滑走は
あくまで補助


指や手首を動かす運動・神経を滑らせる運動は、装具の「補助」です。研究では、装具に運動を追加しても、装具だけと比べた明らかな上乗せ効果は示されていません

📋 優先順位を崩さない

柱は装具、運動はそれを助けるおまけ。運動を過大に説明して、装具がおろそかにならないように。

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注射の実際STEROID INJECTION

ステロイド注射は
「時間を買う」介入


手根管への注射は、数週間〜10週ほどは有意に症状をやわらげます。ただし1年後には差が縮まり、注射を受けた人の多くが結局は手術に至ります。根治ではなく、時間を稼ぐ手段と理解しておきます。

⚠️ 期待値を合わせる

「注射でしばらく楽になっても、効果が薄れたり、母指球がやせたりすれば手術を考える」と最初に予告を。

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治療の段階STEP-UP CARE

装具から手術までの3ステップ

1
🌙 装具SPLINT 夜の中間位スプリントが保存の柱。まず3〜4週間つける。
2
💉 注射INJECTION 装具で不十分なら注射で時間を稼ぐ。根治ではない。
3
手術SURGERY 続く・進むなら手術。よく効いて再発は少ない。
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背景疾患UNDERLYING CONDITIONS

妊娠・糖尿病・甲状腺も見ておく

Q

妊娠中のしびれや、持病は関係しますか?

A

妊娠に伴うものは多くが産後に自然と軽快します。糖尿病・甲状腺機能低下症・透析・関節リウマチが関わることもあり、その管理を並行して評価します。

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よくある誤解COMMON MYTHS

まとめて正す3つの誤解

よくある誤解正しい理解
手首を休めれば自然に治る安静だけでは治りにくい。柱は夜の装具
手術は怖いから様子見でよい手術はよく効き再発少。様子見しない
ビタミンB6などのサプリで治る治すという確かな根拠はない
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手術の位置づけSURGERY WORKS

手術は効果が高く、再発は少ない

手根管開放術は、保存療法より臨床的な改善が優れ、その効果は6〜12か月続き、再手術はまれです。保存で粘った人の多くも、結局は手術に移行しています。手術は「最終手段の脅し」ではなく標準的な選択肢の一つです。

母指球のやせ・力の低下・続くしびれは、神経の傷みが進むサイン。怖がって遅らせず、適切なタイミングで手術に送ります。
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外来トーク例HOW TO TALK IN CLINIC

そのまま使える外来での伝え方

💬 シンプル版(時間が限られる外来で)

「手首の中で神経が押されています。まずは夜、手首をまっすぐ保つ装具を使いましょう」

💬 くわしい版(時間に余裕があるとき)

「運動は装具の補助、注射は時間を稼ぐ手段です。親指の付け根がやせる・力が入らない・一日中しびれる、が出たら手術を考えます。手術はよく効いて再発は多くありません」

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家でのセルフケアA HOME PLAN

今日から回せるセルフケアの型

1
🌙 夜は装具SPLINT 手首をまっすぐ保つ装具を夜に。反らせるタイプは避ける。
2
🖐️ 日中の工夫REST HANDS 手首を曲げた長時間作業を避け、こまめに休憩する。
3
⚠️ サインを見るWATCH 母指球のやせ・力の低下・続くしびれが出たら相談を。
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受診・手術のサインRED FLAGS

様子見しない“手術のサイン”

1母指球がやせる

親指の付け根がやせた・平らになった→手術を検討

2力が落ちる

物を落とす・つまむ力が落ちた→受診を

3一日中しびれる

夜だけでなく日中も続く・感覚が鈍い→受診を

4装具で良くならない

3〜4週間の装具・注射でも改善しない・再増悪→相談を

📞 手首のケガ後・両手同時・急な悪化は、早めに相談を
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参考文献REFERENCES

おもな根拠(概要)


1

AAOS/ASSH ガイドライン(2024)― 手根管症候群の管理J Am Acad Orthop Surg

2

Page ら(2012)― 装具Cochrane Database Syst Rev

3

Verdugo ら(2008)― 手術 vs 保存Cochrane Database Syst Rev

4

Page ら(2012)― 運動Cochrane Database Syst Rev

5

Atroshi ら(2013)― ステロイド注射Ann Intern Med

6

Abdolrazaghi ら(2023)― 滑走運動のRCTHand (N Y)

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手のしびれは、装具から。
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柱は夜の装具。母指球のやせ・力の低下は、様子見せず手術へ。