正しいセルフケアと、受診の目安 ― 外来で使える説明
かぜに抗菌薬は不要。多くは自然に治り、咳は長引くのがふつう。危険サインだけ見逃さないことが大切です。
ふつうのかぜは、多くがウイルスによるものです。抗菌薬は「細菌の薬」なので、ウイルスには効きません。飲んでも治りは早まらず、副作用と耐性菌だけが残ってしまいます。
かぜに抗菌薬は効かないのが原則。「念のため」で飲むと害だけが残ります。
黄色・緑色の鼻水は、細菌感染で抗菌薬が必要?
いいえ。色のついた鼻水は、ウイルスのかぜでもよく出ます。色だけで細菌感染とは言えず、抗菌薬は必要ありません。
鼻水・のど痛
症状のピーク
鼻・のどは楽に
咳だけ長引く
自然に軽快
※ 咳が長引くのは自然な経過。「まだ治らない=薬不足」ではありません(Ebell 2013)。
1歳以上の子どもや大人の夜の咳には、はちみつ小さじ1〜2杯が役立ちます。安価で安全、市販の咳止め成分に劣らないという報告があります。
1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを絶対に与えないこと(乳児ボツリヌス症のおそれ)。
ビタミンCや亜鉛を毎日飲めば、かぜを予防できる?
予防の効果ははっきりしません。期間が少し短くなる可能性はあっても不確実で、亜鉛は吐き気などの副作用も増えます。過度な期待はしないのが正解です。
| よくある誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 抗菌薬でかぜが早く治る | ウイルスには効かず、害が残るだけ |
| 黄・緑の鼻水=抗菌薬が必要 | ウイルスでも色はつく |
| 咳が長引く=こじれた・薬が足りない | 咳は2〜3週間続くのがふつう |
市販の総合感冒薬や咳止めは、大人の一部の症状をやわらげることはありますが、6歳未満の子どもには効果が乏しく、副作用の心配があります。症状に合わせて最小限に使いましょう。
「かぜはウイルスなので、抗菌薬は効きません。休養と水分で、多くは自然によくなりますよ」
「咳は2〜3週間続くこともありますが、それがふつうです。夜の咳にははちみつ(1歳未満はダメ)。息苦しさや、下がった熱のぶり返しがあれば、また来てくださいね」
息切れ・ゼーゼー・胸の痛みがある→早めに受診
高熱が4〜5日以上、または熱のぶり返し→受診を
10日たっても改善しない→受診を
飲めない・ぐったり・反応がにぶい→すぐ受診
抗微生物薬適正使用の手引き 第二版厚生労働省(2019)― 感冒に抗菌薬は非推奨
Kenealy & Arroll(2013)― かぜへの抗菌薬Cochrane Database Syst Rev
Ebell(2013)― 咳が続く日数Ann Fam Med
Oduwole(2018)― 子どもの咳とはちみつCochrane Database Syst Rev
Hemilä & Chalker(2013)― ビタミンCCochrane Database Syst Rev
Nault(2024)― 亜鉛Cochrane Database Syst Rev
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