「アルツハイマー型」と「血管性」は
分けられない——剖検データが示すこと
認知症の脳を実際に見ると、この前提は成り立ちません。
認知症の脳の多くは、
「アルツハイマー」と
「血管」が混ざっている。
動脈硬化・細動脈硬化は、
アルツハイマー病理とは
別に認知機能と関連する。
血管を守れば認知症を
防げるとは言えない。
それでも打つ手はある。
「アルツハイマー型」か「血管性」か、どちらか一方という理解。
多くの場合、両方の変化が同時に見られます。
この後、それを剖検データで確認していきます。
地域に暮らす高齢者141人。生前は年1回、臨床評価を受けていた。
脳を調べ、アルツハイマー病理・脳梗塞・
パーキンソン病/レビー小体病を診断した。
急性・慢性の脳異常がなかったのは20人(14.2%)でした。
| 病理の組み合わせ | 割合(人数) |
|---|---|
| AD+梗塞 | 38.0%(n=19) |
| 純粋AD | 30.0%(n=15) |
| 血管性認知症 | 12%(n=6) |
| AD+PD/LBD | 12%(n=6) |
認知症のあった50人のうち、いちばん多かった組み合わせです。
141例の剖検コホートの実数です。一般人口の割合ではありません。
複数の病理を持つ人は、単一病理の人に比べOR 2.8。
95%CI 1.2〜6.7。有意だが、値の精度は高くありません。
認知症のあった50人のうち、50%超が複数の病理を持っていました。
| 血管の変化 | オッズ比 |
|---|---|
| 動脈硬化 (大きな血管) | OR 1.33(1.11–1.58) |
| 細動脈硬化 (細い血管) | OR 1.20(1.04–1.40) |
アルツハイマー病理と梗塞を調整してもなお関連していました。
「動脈硬化があるから認知症になった」という時間の前後関係は示されていません。
血管病理は認知症の「気づかれていない危険因子かもしれない」と書かれている。
死亡時年齢の中央値は88.8歳。きわめて高齢な人の集団という点にも注意が必要です。
| 認知症のなかった91人 | 割合(人数) |
|---|---|
| 慢性病理の異常なし | 28.6%(n=26) |
| 純粋AD病理 | 24.2%(n=22) |
| 梗塞 | 17.6%(n=16) |
純粋なAD病理を持ちながら認知症でなかった人が、
4人に1人近くいました。
個々の研究を束ねた総説。ここから数値は出てきません。
脳血管病理・レビー小体などの併存が、認知症が臨床的に表面化する閾値を下げる。
数値の裏づけが要るときは、前のスライドの数字に戻ります。
| アウトカム | ハザード比 |
|---|---|
| 脳卒中 | HR 3.3(2.6–4.4) |
| 認知症 | HR 1.9(1.3–2.8) |
| 死亡 | HR 2.0(1.6–2.7) |
著者の結論は「危険因子の詳細なスクリーニングを促すべき」。治療が必要という意味ではありません。
| 中年期の因子 | ハザード比 |
|---|---|
| 糖尿病 | HR 1.77(1.53–2.04) |
| (参考) APOE ε4遺伝子型 | HR 1.98(1.78–2.21) |
著者は「糖尿病のハザード比は
APOE ε4とほぼ同じくらい高かった」と述べています。
米国のコホート(黒人27.1%)。日本人への外挿は慎重に。
| 有病率 | 1985 | 1992 | 1998 | 2005 |
|---|---|---|---|---|
| アルツハイマー型 | 1.1% | 1.3% | 2.3% | 3.8% |
| 血管性認知症 | 2.3% | 1.5% | 1.5% | 2.5% |
65歳以上住民の有病率(年齢・性別で調整)。発症率ではありません。
P for trend は AD<0.001、血管性は0.82。
2.3%→2.5%(P for trend = 0.82)。有意な傾向は検出されていません。
アルツハイマー型が増えたから(1.1%→3.8%)。血管性が減ったからではありません。
「血管性認知症は過去のもの」という語りは、このデータでは支持されません。
血管を守れば認知症を確実に防げると証明されたわけではありません。
これらの危険因子を持つ人で、認知症のリスクが高いことが複数の観察研究で示されています。
「因子に介入すれば認知症が減る」かどうかは、まだ証明されていません。
認知症のある人の
最多はAD+梗塞。
2択では捉えられない。
AD病理・梗塞を
調整してもなお関連。
ただし横断研究。
それでも血管の因子に
手を打つ理由はある。
個別数値は各弾で。
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