医知創造ラボ

多因子介入と認知症

「運動も食事も脳トレも全部やる」は
認知症に効くのか——日本の研究が出した答え

#14 監修:脳神経内科専門医
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健診でよくある場面A COMMON SCENE

血圧も血糖も、
そのうえ運動不足

今日、確かめること

まとめて手を打てば、認知症は防げるのか。

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医知創造ラボWHAT YOU'LL LEARN

この動画で分かること、3つ


01
束ねる発想は
成功した

フィンランドの試験で
検査の点数に差が出た。
ただし効き目は
小さいものだった。

02
日本の試験は
差がつかなかった

そして認知症の発症を
減らせた試験は、
いまのところ
ありません。

03
それでも
言えること

多いほど良いではない。
続けられる形が効く。
放置している数値が
ある人ほど価値が大きい。

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Lancet 委員会 202414 RISK FACTORS

危険因子は重なる。
だから、束ねて手を打つ


📋 出発点になった数字

修正できる危険因子は14その重み付き人口寄与割合の合計はおよそ45%です。

⚠ 読み方の注意

これは集団についての割合であって、「あなたが45%減らせる」という意味ではありません。

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FINGER 試験・2年Ngandu 2015
0.022/年

束ねた群のほうが、
検査の点数の変化が良かった

95%CI 0.002–0.042・p=0.030・1,260人を2年追跡

測ったのは認知機能テストの点数で、認知症の発症ではありません。

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効果量と有害事象HOW BIG, AND AT WHAT COST

ただし、効き目は
小さいものでした


項目結果
効果量Cohen's d = 0.127(=小さい)
有害事象介入 7% vs 対照 1%
最も多かったもの筋骨格系の痛み(32人 vs 0人)

運動を増やせば、体は痛くなります。痛みが出たら休む、種目を変える、相談する。

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J-MINT 試験・日本Sakurai 2024
0.047(95%CI −0.029〜0.124)

信頼区間がゼロをまたぎ、
差はつきませんでした

65〜85歳・軽度認知障害・週1回90分の運動教室を78回

著者自身が「多因子介入は認知機能低下の予防に有効性を示さなかった」と書いています。

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著者が挙げた理由と、二次評価項目WHY, AND WHAT DID CHANGE

「無駄だった」わけではありません


  • 新型コロナの流行で、グループ運動ができなくなった
  • 対照群にも介入が入っていた——両群とも生活習慣病は治療され、2か月ごとに健康情報が配られていた
  • 日本の軽度認知障害の高齢者に限った試験だった
✅ 二次評価項目では有意に改善した

食の多様性/参加している集まりの数/難聴による生活のしづらさ/BMI・除脂肪量/収縮期血圧

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U.S. POINTER 試験Baker 2025

比べられたのは
「伴走つき」と「自己流」


グループ点数の年あたりの変化
構造化
(伴走つき)
+0.243 SD(0.227–0.258)
自己流
(低強度)
+0.213 SD(0.198–0.229)
群間差0.029 SD/年(0.008–0.050・P=.008)

この試験に「何もしない群」はありません。どちらの群でも点数は上がりました。

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109試験のメタ解析Mendes 2025

「多ければ多いほど良い」
ではありません


組み合わせ全般認知機能への効果
運動+認知トレーニングSMD 0.26(0.10–0.42)=最も強い
認知トレーニング単独SMD 0.21(0.08–0.33)
4つを束ねたものSMD 0.14(0.02–0.27)

ただし40%の試験でバイアスのリスクが高く、出版バイアスも示唆されています。

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preDIVA と統合解析Coley 2025

認知症の発症そのものは、
まだ減っていません


認知症の発症を数えた研究結果
preDIVA
(3,526人・6年)
HR 0.92(0.71–1.19・p=0.54)
MAPT+preDIVA 統合
(5,205人・最長12年)
全体でも、どのサブグループでも差なし

「認知症になる人が減った」と主要な評価項目で示した試験は、いまのところありません。

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POINTER 画像研究Harrison 2026

脳の画像も、動きませんでした


  • アミロイドβ・タウ・海馬体積の変化に群間差なし
  • アミロイドの有無で効果は変わらなかった
⚠ この試験が直接否定していること

「生活習慣を変えればアミロイドが減る」「脳が若返る」——そうは言えません。

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最も危険な誤読THE MOST DANGEROUS MISREADING

「やっても意味がない」
ではありません


効果が証明されていないのだから、やっても意味がない

①「多いほど良い」ではない——まず運動と、頭を使うこと。
②続けられる形にすることが効いている可能性——J-MINTで出席率70%以上の人は対照群より0.080良かった(サブ解析)。

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POINTER/J-MINT 追加解析Baker 2025 / Sugimoto 2025

言えること、あと2つ


③ 自己流でも、点数は動いていた

POINTERの自己流の群でも年あたり0.213SD上がり、伴走でさらに0.029が乗りました。

④ 放置している数値がある人ほど大きい

未治療・管理不良の血管危険因子がある298人でZスコア差0.11(0.02–0.20)。※サブグループ解析

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安全に言えることだけWHERE TO START

では、何から始めるか


  • 体を動かす習慣と、頭を使う習慣を、続けられる形で
  • 血圧・血糖・コレステロールを、放置したままにしない
  • 痛くなったら休む。種目を変える。担当の先生に相談する
⚠ この動画は運動の量を指示するものではありません

持病のある方、関節や心臓に不安のある方は、量を増やす前に担当の先生に相談してください。

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HATICE 試験Richard 2019

通えない人に、
どう届けるか


  • コーチが伴走するインターネット介入を、2,724人で検証
  • 18か月後、血圧・LDL・BMIの合成指標が改善(平均差 −0.05・p=0.008)
⚠ 測ったのは認知機能ではありません

主要な評価項目は血圧・LDL・BMIです。各国の試験の結果はこれからです。

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まとめSUMMARY

持ち帰るのは、3つ


01
束ねる発想は
成功した

ただし測ったのは
検査の点数で、
効き目は小さかった。

02
発症を減らせた
試験はまだ無い

日本の試験は
主要評価項目で
差がつかなかった。

03
それでも
言えること

多いほど良いではない。
続く形を選ぶ。
放置している数値から
相談する。

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この動画は情報提供です
個別の診断ではありません

運動の量や治療のことで気になるときは、
自己判断せず担当の先生に相談してください

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