外来患者指導シリーズ第19弾

糖尿病性末梢神経障害の
フットケア指導

「痛みを感じない足」をどう守るか——
教育単独ではなく“統合ケア”で予防する

医知創造ラボ 監修:今村久司(脳神経内科専門医・総合内科専門医) 外来指導シリーズ #19
今日のテーマTODAY'S POINT

足が痛くないのは、
良い兆候ですか?

結論

いいえ。痛みという警報が壊れているいちばん危険なサインです

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この動画でわかることAGENDA

本日のアジェンダ


1
なぜ「痛くない足」がいちばん危険か防御知覚の消失(LOPS)という病態
2
患者さんに伝えるセルフフットケア5つの習慣毎日見る・靴・自己処置回避・低温やけど・生活習慣
3
医師向け:教育単独は弱い/リスク層別化/危険サイン統合ケアの設計と受診トリガー
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CHAPTER

第1章

なぜ「痛くない足」がいちばん危険か

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病態の核心SECTION 05 — KEY POINT

痛み・熱さ・圧迫という「警報」が、
働かなくなる


糖尿病性末梢神経障害が進むと、防御知覚の消失(LOPS)に至ります。痛み・熱さ・圧迫を感じる力が失われると、靴擦れ・低温やけど・深爪・異物が無痛のまま潰瘍化し、感染から切断へ静かに進むことがあります(Boulton 2005/Armstrong 2017)。

📋 ここだけ覚えればOK

「痛くないから見なくていい」ではなく、「痛くないからこそ、毎日見る」。この視点の転換が指導の肝です。

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CHAPTER

第2章

患者に伝えるセルフフットケア5つの習慣

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①毎日、足を見て・触るDAILY FOOT CHECK

壊れた警報の代わりを、目と手で


感覚が失われた足は、傷や熱による損傷を無痛のまま受けます。だからこそ、視覚と触覚で毎日代わりに点検します。

  • 毎日、決まったタイミング(入浴後など)で点検する習慣を
  • 足の甲・裏・指の間・かかと・爪を見て、触って確認
  • 見えない足裏は鏡か、ご家族に依頼する
📋 外来トーク例

「痛くないからこそ、足は毎日見てください。痛みで気づけない傷を、目で見つけるためです」

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②足を守る環境FOOTWEAR & NO BAREFOOT

素足を避け、靴の中を確かめる


画鋲や小石、熱源を無痛のまま踏み込んでしまうため、屋内でも素足は避けます。

  • 屋内でも素足で歩かない
  • 靴を履く前に手を入れて異物を確認する
  • 足に合う靴を選び、新しい靴は短時間から慣らす
  • 治療靴・免荷インソールは高リスク例では医療者の処方で
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③自己処置をしないNO SELF-TREATMENT

たこ・魚の目・深爪は、
自分で処置しない


感覚が鈍った足を自分で削ると、無痛のまま皮膚を傷つけ、潰瘍の入口になります。

  • 爪は深爪せず、直線的に切る
  • たこ・魚の目をカミソリや市販薬で自分で削らない——医療機関・フットケア外来で
  • 乾燥・ひび割れは保湿を(指の間は蒸れに注意
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④低温やけどを防ぐLOW-TEMPERATURE BURNS

「熱くない」温度でも、
無痛のままやけどする


熱さの防御知覚が低下しているため、「熱くない」と感じる温度でも、長時間で低温やけどが起こります。

  • 湯たんぽ・こたつ・電気毛布・カイロを直接足に長時間当てない
  • 足浴・入浴は温度計や手(またはご家族)で湯温を確認する
  • 冬季に多い注意点として、繰り返し伝える
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⑤足を守る生活習慣HYGIENE / SMOKING / GLYCEMIC

清潔に保ち、禁煙し、
血糖をコントロールする


  • 足を清潔に保ち、指の間の蒸れ・水虫を放置しない
  • 禁煙は血流を守る——末梢動脈疾患(PAD)による治癒遅延・切断リスクを避けるために重要
  • 血糖コントロールは神経障害の管理の土台。生活指導の詳細は第8弾へ
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外来で訂正したい誤解COMMON MYTH

その思い込み、大丈夫?


痛くないから、まだ大丈夫

痛くないからこそ、傷に気づけない——だから毎日見る

たこや魚の目は、家で削れば早く治る

感覚が鈍った足を自分で削ると、無痛のまま潰瘍の入口になる

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医師向け——エビデンスの機微EDUCATION ALONE IS NOT ENOUGH

「指導すれば防げる」と、言い切れるか


分かっていること

患者教育プログラムのコクラン・レビューでは、潰瘍・切断の発生を報告した試験は少なく、教育「単独」がそれらを確実に減らすという頑健なエビデンスは不十分でした(Dorresteijn 2014)。

外来での設計

教育は予防の柱の1本。定期診察・適切な履物・(高リスクでは)統合的フットケアとセットで初めて有効です(Hoogeveen 2015/IWGDF 2023)。

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医師向け——診察と頻度RISK STRATIFICATION

リスクに応じて、点検の頻度を変える


IWGDF 2023予防ガイドラインは、足のリスクに応じて診察の間隔を変えることを推奨しています。感覚も血流も保たれていればスクリーニング頻度は低く、感覚低下・変形・潰瘍や切断の既往があるほど頻度を上げる、という原則です。

🩺 外来診察のポイント

10gモノフィラメント+128Hz音叉でLOPSを客観的に拾い、足背・後脛骨動脈の触知で血流(PAD)も評価します(Boulton 2008/Singh 2005)。

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生活指導だけで様子を見てはいけないサインRED FLAGS

見逃してはいけない危険サイン

1治らない傷・水疱

ひび割れも含め、数日〜1週間で改善しない

2赤み・腫れ・熱感・膿

悪臭を含む感染徴候。早急な評価を

3皮膚の色の変化(黒ずみ・紫・蒼白)

壊死・虚血を疑う。PAD合併は特に急ぐ

4足全体の急な発赤・熱感・腫脹

急性シャルコー足を疑う

📞 無痛でも受診を——糖尿病・形成外科・血管外科・皮膚科・整形外科へ
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まとめSUMMARY

今日の3つの持ち帰りポイント


01
痛くないからこそ
毎日見る

壊れた痛みの警報を目と手の点検で代わりにする

02
教育は
統合ケアの一部

定期診察・履物・チーム医療とセットで初めて有効

03
危険サインは
無痛でも受診

治らない傷・色調の変化は様子見せずに評価を

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⚠️

ご視聴にあたってのお願い

この動画は一般的な情報提供であり、診断・治療の代わりにはなりません。
症状がある場合は医療機関を受診してください

参考文献・出典REFERENCES

この動画の参考資料

[1]

Dorresteijn 2014 (Cochrane)

[2]

Hoogeveen 2015 (Cochrane)

[3]

Bus SA 2023(IWGDF予防GL)

[4]

Schaper NC 2023(IWGDF実践GL)

[5]

Armstrong 2017 (NEJM)

[6]

Singh 2005 (JAMA)

[7]

Boulton 2008 (Phys Ther)

[8]

Boulton 2005 (ADA声明)

[9]

Lavery 2007(皮膚温モニタリング)

出典はPMID・DOIを含め概要欄をご確認ください。

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今日から、足を見る習慣を

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