医知創造ラボ

てんかん診療×AIの全体像

脳波自動判読・発作予知・生成AIはどこまで来たか【2026年版】

総説 脳神経内科医が解説 所要 約10分
今日の問いTODAY'S POINT

「AIがてんかんを
診断する」は本当か?

結論

検出は実装期、予測は黎明期、生成は研究段階。
AIは専門家を補助するが、置き換えはしない。

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全体地図THE BIG PICTURE

AI活用は3つの層で整理できる


何をするか成熟度
① 検出
診断・解析
脳波・画像から異常を自動で見つける実装期
② 予測
モニタリング
発作を検知・予報し、見守る黎明期
③ 生成
言葉で支援
問診・鑑別・レポートをLLMが支援研究段階
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LAYER 01 — 実装期

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診断と解析の自動化

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脳波の自動判読EEG — AUTO READING

市販ソフトが
発作・棘波を自動で拾う


Persystなどの解析ソフトは、長時間脳波から発作や棘波の候補を自動抽出し、判読を効率化します。比較研究では検出率 約81%・検出の遅れ 約20秒と市販ソフト中で最良でした。

📋 ここがポイント

感度は熟練技師にやや劣るが、誤警報が少ないのが強み。あくまで「判読の補助・効率化」のツールです。

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よくある誤解COMMON MYTH

AIは判読を肩代わりする?


AIが脳波判読を肩代わりし、専門医はいらなくなる

検出性能はなお人に及ばず、最終判読は専門家。AIは補助・効率化に徹する

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KEY NUMBER — ICU EEG
47%→71%

ICUの危険な脳波パターン分類、解釈可能AIの支援で精度が向上

Barnett AJ, et al. NEJM AI 2024(医療者8名・P<0.04)

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KEY NUMBER — FCD DETECTION
63.7%

MRIで見えない限局性皮質異形成も、FCD検出AIが拾い上げる感度

Ripart M, et al. JAMA Neurol 2025(MELD Graph/組織確認例では81.6%)

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LAYER 02 — 黎明期

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予測とモニタリング

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発作検出ウェアラブルWEARABLES

全身けいれんを
手首で検知して知らせる


加速度+皮膚電気活動を使う多モーダル機器は、全身けいれん発作(GTCS)を感度 小児0.92・成人0.94で検出。ILAE/IFCNガイドラインもGTCSに限り条件付きで推奨しています。

📋 ここがポイント

対象は全身けいれん発作が中心。市販スマートウォッチの一般機能で確実に検出できるわけではありません。

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注意したいことCAUTION — SUDEP

検知できる、は
予防できるではない


夜間のけいれんを検知できれば、てんかん突然死(SUDEP)を防げるのでは——と期待されます。しかし現実には、

⚠️

「ウェアラブルがSUDEPを予防する」というエビデンスは、いまだ欠如している

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発作予測SEIZURE FORECASTING

発作は完全な
ランダムではない


慢性脳波からは数日単位の周期(multidien cycle)が見つかり、これを使うと翌日の発作リスクを「予報」できます。長期脳波を用いた研究では、偶然を上回る予測が開発群83%・検証群66%の患者で得られました。

📋 ここがポイント

天気予報のように「今日は発作リスクが高い日」を知らせる試み。実用化はまだ研究段階です。

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LAYER 03 — 研究段階

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生成AI・LLMによる支援

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生成AIの実力LLM — LIGHT & SHADOW

LLMの光と影


検証結果評価
GPT-4
発作の鑑別
患者の語りから 平衡精度64%医師71%に及ばず
ChatGPT4.0
てんかん診断
専門医と一致せず(κ=−0.01)現状は補助不可

同じ症例でも質問次第で診断が揺れる再現性の課題もあります。

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数字で見る現在地STATE OF EVIDENCE

領域別の到達点


ICU脳波判読
71%
FCD検出
81.6%
ウェアラブル
94%
発作予測
83%
治療反応予測
0.81

AI支援後の判読精度/FCDは組織確認例/治療反応はAUROC。出典は概要欄に記載

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最後の壁REGULATION & ETHICS

精度より、
検証・規制・倫理


医療現場で動くAIは「プログラム医療機器(SaMD)」として承認が必要で、日本でも審査体制が整備されている段階です。ILAEも公平で倫理的なAIを求める提言を出しています。

📋 実装の鍵

「精度の数字」だけでなく、誰が責任を負い、どう検証され、公平に届くか。これが臨床実装の本丸です。

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まとめSUMMARY

3層で見る、てんかんAIの現在地


01
検出は実装期

脳波・画像の自動解析は最も臨床に近い。だが性能は人にやや劣り、補助に徹する。

02
予測は黎明期

けいれん検出は承認・推奨済み。発作の「予報」はまだ研究段階。SUDEP予防は未証明。

03
生成は研究段階

LLMは高感度だが特異度・再現性が課題。臨床判断を委ねる段階ではない。

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AIは専門家を
置き換えない。協働する。

本動画は教育目的の解説です。診療判断は主治医にご相談ください。

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次回:「AI脳波判読を深掘り — Persyst・ICU cEEGの最前線」