転ばない体に足りない、もう一つの練習
| 見ているもの | 運動をした人の減り方 | 確実性 |
|---|---|---|
| 転んだ回数 | 23%減 | 高い |
| 1回以上転んだ人 | 15%減 | 高い |
「運動なら何でもいい」ではない。効くかどうかは種類で分かれる
108試験・23,407人のメタ解析。Sherrington C, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2019;1(1):CD012424.
| 運動の種類 | 転んだ回数 | 確実性 |
|---|---|---|
| バランス・機能的運動 | 24%減 | 高い |
| バランス+筋力の併用 | 34%減 | 中 |
| 太極拳 | 19%減 | 低い |
| 筋力トレーニング単独 | 不確実 | — |
| ウォーキング・ダンス | 不確実 | — |
「筋力トレーニング単独」=バランス・機能的運動を伴わないもの。種類による差の検定 P=0.004。同上
筋トレとウォーキングは、転倒予防に無効だ
「まだ測れていない」という意味。
やめさせる理由にはならない
※ 確実に減ると分かっているのはバランス課題。だから「やめる」ではなく「足す」と伝えます
1回60分を、24週間。
これが実際に転倒が減った用量
高リスクの70歳以上670人の試験。太極拳で58%減、多種目運動で40%減
Li F, et al. JAMA Intern Med. 2018;178(10):1301-1310.
B推奨
(行うことを推奨)
中等度の確実性で、中等度の正味利益
C推奨
(個別に判断)
正味利益は小さい。転倒歴・併存疾患・本人の価値観をふまえて決める
看護師主導の多因子介入を86診療所・5,451人で試したSTRIDEでも、重症転倒外傷に差はつかなかった(P=0.25)
USPSTF. JAMA. 2024;332(1):51-57. / Bhasin S, et al. N Engl J Med. 2020;383(2):129-140.
受診機会を
とらえて拾う
全員に助言はする。多因子評価は高リスクと判断した人にだけ
65歳以上は
全員・毎年
転倒歴のある人だけに絞らない、という立場
どちらか一方が「世界標準」ではありません。
Montero-Odasso M, et al. Age Ageing. 2022;51(9):afac205. / Eckstrom E, et al. J Am Geriatr Soc. 2024;72(6):1669-1686.
ふらつくのは、血圧の薬のせいだ
調整後に転倒と有意に関連したのはループ利尿薬だけ
| 心血管薬 | 転倒との関連(調整後) |
|---|---|
| ループ利尿薬 | 1.36倍(上げる) |
| β遮断薬 | 0.88倍(下げる) |
| その他の心血管薬 | 一貫しない |
131研究のメタ解析。de Vries M, et al. J Am Med Dir Assoc. 2018;19(4):371.e1.
ポリファーマシー 1.75倍。個別の薬剤クラスのどれよりも大きい
Seppala LJ, et al. J Am Med Dir Assoc. 2018;19(4):371.e11-371.e17. / 同 2018;19(4):372.e1-372.e8.
著者自身が、異質性が大きいことと併せて明記している
SSRIや短時間作用型が安全かどうかは不明、と著者は書いている
15%減
(欠乏者では31%減)
毎日飲んだ場合のみ。まとめて飲む方法では効果がなかった
減らないうえ、
安全性に懸念
重症の転倒・入院を伴う転倒が、むしろ多かったという報告がある
Tan L, et al. BMC Geriatr. 2024;24(1):390. / Appel LJ, et al. Ann Intern Med. 2021;174(2):145-156.
確定診断には筋量測定(DXA・BIA)が要ります。ここで言えるのは「可能性あり」まで。
日本サルコペニア・フレイル学会「新しいサルコペニアの診断基準(AWGS 2025)のお知らせ」2025年11月11日
歩くのが遅ければサルコペニア(AWGS 2019)
低筋量と低筋力がそろったときだけ診断。
身体機能はアウトカムとして測る
「繰り返す転倒」は、評価を始めるトリガーとして明記されている
50〜64歳の握力カットオフ(男性34kg・女性20kg未満)も新設。Chen LK, et al. Nat Aging. 2025;5(11):2164-2175.
Sherrington C, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2019;1(1):CD012424.
Li F, et al. JAMA Intern Med. 2018;178(10):1301-1310.
US Preventive Services Task Force. JAMA. 2024;332(1):51-57.
Bhasin S, et al. N Engl J Med. 2020;383(2):129-140.
de Vries M, et al. J Am Med Dir Assoc. 2018;19(4):371.e1-371.e9.
Seppala LJ, et al. J Am Med Dir Assoc. 2018;19(4):371.e11/372.e1
Tan L, et al. BMC Geriatr. 2024;24(1):390.
Appel LJ, et al. Ann Intern Med. 2021;174(2):145-156.
Chen LK, et al. Nat Aging. 2025;5(11):2164-2175.(AWGS 2025)
日本語の要約は日本サルコペニア・フレイル学会の告知(2025年11月11日)。個々の治療方針は担当の先生の判断によります。