なぜ手の震えより先に、便秘・嗅覚障害が来るのか
パーキンソン病は黒質だけの病気ではなく、病理が「下から上へ」広がる。
それを説明するのがBraak仮説です。
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手の震えや動作の遅さは、脳深部にある黒質のドパミン神経が減って起こります。けれど多くの患者さんは、その何年も前から便秘・嗅覚低下・睡眠中の異常行動を経験しています。
黒質の障害は氷山の一角。水面下では、もっと前から、もっと「下」の場所で病理が静かに進んでいる可能性があります。
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病理が場所から場所へ広がる仕組みとして注目されるのが、異常なα-シヌクレインが隣の神経細胞へ次々に伝わるプリオン様伝播です。
患者さんの脳に移植された健康な神経細胞に、14年を経てレビー小体様の封入体が出現。合成α-シヌクレインをマウスに少量入れると細胞間に伝播した実験もあります。
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| サイン | なぜ起こる | 関わる部位 |
|---|---|---|
| 便秘 | 腸の神経が早くから影響を受け、頑固な便秘が先行する | 迷走神経・腸 |
| 嗅覚の低下 | 嗅球が初期から侵され、においを感じにくくなる | 嗅球 |
| RBD | 夢に合わせて大声・激しい体動が出る睡眠中の異常行動 | 下部脳幹 |
RBDの方が12年でパーキンソン症候群へ
年あたり約 6.3% が移行
出典:Postuma RB, et al. Brain. 2019(iRBD多施設前向きコホート)
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腸と脳幹は迷走神経という太い配線でつながっています。マウスでは、腸に入れた異常タンパクがBraakの順序どおり脳へ伝わり、迷走神経を切ると伝播が止まりました。
胃の手術で迷走神経を根元から切った人は、20年以上の追跡でパーキンソン病リスクが低下(HR 0.53、95%CI 0.28–0.99)。腸内細菌の関与も示唆されます。
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| body-first(体から) | brain-first(脳から) | |
|---|---|---|
| 始まる場所 | 腸・末梢から「下から上へ」 | 脳側から始まる |
| RBD | 伴いやすい | 伴いにくい |
| 前駆症状 | 便秘・嗅覚低下が先行しやすい | 必ずしも先行しない |
※ Braakらの「鼻と胃の2経路(dual-hit仮説)」の現代的な改訂版。始まり方は人によって違います。
便秘・嗅覚低下など複数が重なるとき。とくに睡眠中に大声で暴れるRBDが疑われるなら
便秘や嗅覚低下が1つだけ。加齢・生活習慣・薬・鼻の病気でも普通に起こる
✚ 医知創造ラボ|今日の3つの持ち帰り
運動症状が出る何年も前から、腸や嗅球で静かに始まっている可能性。
Braak仮説の進展モデル。ただし全員には当てはまらず、2つの軌道が提唱されています。
1つだけなら病気ではありません。複数+RBDが加わるなら脳神経内科へ。