外来患者指導シリーズ第28弾

禁煙の
外来サポート

「意志の問題」に
してしまう前に

医知創造ラボ 監修:今村久司(脳神経内科・総合内科専門医)
今日のテーマTODAY'S POINT

「意志の問題」ではなく
12週・5回の保険診療

結論

支援を差し出す、加熱式も保険の対象、体重の話を先にする——この3つです

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この動画でわかることAGENDA

本日のアジェンダ


1
やめる気がない人への声かけ選別をやめる、加熱式たばこの扱い、保険で治療できる4条件
2
薬と、12週のスケジュール薬の選択肢と効果の目安、パッチの渡し方、5回の外来の中身
3
続かないときに言うこと体重の話を先にする、ストレスへの答え、紹介を考えるライン
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CHAPTER

第1章

やめる気がない人に、何を言うか

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本弾の核心Aveyard 2012 / Stead 2013

「やめる気がありますか」で
選別しない


医学的な理由による助言と、支援を実際に差し出すことが比較されています。

  • 医学的理由で禁煙をすすめる助言=禁煙試行 RR 1.24(1.16–1.33)
  • 行動支援を差し出す=RR 2.17(1.52–3.11)と、助言より大きい
  • ニコチン製剤を差し出す=RR 1.68(1.48–1.89)
  • 直接比較でも、支援の提示は助言より禁煙試行を増やした
  • ただし絶対効果は小さい。(禁煙率では)自力の2〜3%に1〜3%の上乗せ
📋 外来トーク例

やめるときになったら、保険で薬を出せます」——説得はせず、出口だけ置く

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本弾の核心Tattan-Birch 2022 / 厚労省 2026

加熱式に替えた=禁煙ではない。
でも保険の対象になる


この2文はセットで言います。片方だけだと、患者さんの受け取り方が逆に振れます。

  • Cochrane=紙巻たばこの禁煙をアウトカムとして報告した研究は1本もなかった
  • 同レビュー=組み入れたRCTはすべて、たばこ企業の資金によるものだった
  • 厚労省2026年7月=紙巻より健康影響が少ないというエビデンスはない
  • 知見の整理では、COPD・発がん・歯科疾患などは判定できなかった
  • 通知=加熱式を喫煙している患者も、標準手順書に沿って禁煙治療を行う
📋 実務のポイント

ブリンクマン指数は加熱式を紙巻に換算して算入する(スティック1本=紙巻1本)

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ニコチン依存症管理料令和8年度 告示・通知

保険で治療できるかを、
4つの条件で確かめる


確認すること基準と、外来での確かめ方
① 依存症の診断TDS 10項目で5点以上(カットオフは手順書 第8.1版)
② 喫煙量35歳以上はブリンクマン指数200以上。35歳未満は問わない
③ 禁煙の意思直ちに禁煙することを希望している患者であること
④ 文書同意治療の説明を受け、文書で同意していること
再算定の制限初回算定日より起算して1年を超えた日から再算定できる
施設の要件呼気CO測定器・敷地内禁煙・専任看護師。診療科は問わない
📋 対象外だったとき

手順書=「簡易な禁煙アドバイスを行い、禁煙に役立つ資料を手渡して支援します」

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CHAPTER

第2章

薬と、12週のスケジュール

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禁煙補助薬Cochrane 2018–2023 / Rigotti 2022

薬の選択肢と、
効果の目安


選択肢位置づけと効果の目安
ニコチンパッチ保険で出せる。NRT全体 RR 1.55(1.49–1.61)
バレニクリンプラセボ比 RR 2.32(2.15–2.51)。2026年7月時点で通常出荷・後発品なし
併用ニコチンパッチ+速効型は単剤より優る RR 1.27(1.17–1.37)
OTCの製剤パッチとガム。1年ルールの間をつなぐ
安全性精神疾患があっても神経精神系の有害事象の有意な増加なし
電子タバコニコチン入りは海外で有効。日本では選べない
📋 総説の整理

第一選択は薬と行動支援の併用。初期治療はバレニクリンか併用ニコチン

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ニコチンパッチの実務ニコチネルTTS 電子添文 2026年4月改訂

パッチは、渡すときに
全部言っておく


あとから説明を足すより、最初にまとめて渡したほうが、自己中断が減ります。

  • ❶ 貼っている間は吸わせない。喫煙により循環器系への影響が増強される
  • TTS30を4週、20を2週、10を2週の8週間。10週を超えて続けない
  • MRI・電気的除細動・ジアテルミー、サウナや激しい運動の前には外す
  • ❹ 貼付部位は上腕・腹部・腰背部。毎回変え、同じ場所に繰り返し貼らない
  • ❺ 24時間貼付なので、就寝中に不眠が出たら中止する
📋 外来トーク例

貼っている間は、1本も吸わないでください」——ここだけは最初に必ず言う

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12週・5回の組み立て令和8年度 告示・通知 / 手順書 第8.1版

5回の外来で、
何をするか


受診その回にすること点数
初回TDS・呼気CO測定・文書同意。患者と話し合って禁煙開始日を決める230点
再診1(2週)喫煙状況と離脱症状を確認する。オンラインで行える184点/情報通信機器155点
再診2(4週)同じく確認と励まし。オンラインで行える同上
再診3(8週)初回と比べて体重がどう変化したかを確認する。オンライン可同上
再診4(12週)対面で行う。呼気CO測定は、初診とこの回だけ180点
📋 見落とすと減算になるところ

過去1年の平均継続回数の基準を満たさないと、所定点数の100分の70で算定することになる

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CHAPTER

第3章

続かないときに、何を言うか

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本弾の核心Aubin 2012 / Clair 2013 / 手順書 第8.1版

体重は増える。それでも
心臓には得になる


体重増加を「起きないこと」にしないで、こちらから先に告げておきます。

  • 手順書 第8.1版の患者向け回答=「平均すると2〜3kg程度、体重が増えます」
  • 62研究のメタ解析=12か月で平均4.67kg、6か月で4.23kgの増加
  • ばらつきが大きく、12か月時点で16%は減り、13%は10kgを超えて増えた
  • 糖尿病のない人では、禁煙者の心血管イベント低下は体重変化で追加調整しても変わらず
📋 外来での順番

8週目の再診で体重を確認する。減らしにかかるのは、禁煙が安定してから

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よくある引き留め文句Taylor 2014 / Taylor 2021

「タバコでストレスを
逃している」への答え


やめるとメンタルが悪くなる、という前提そのものを確かめた研究があります。

  • 禁煙した人では不安・抑うつ・ストレスがいずれも改善していた
  • 心理的な生活の質も改善し、効果量は精神疾患の有無で変わらなかった
  • Cochrane版も「禁煙によってメンタルヘルスが悪化することはない」とする
  • ただし群としての平均。個人では悪化しうるので、遷延する症状は拾う
📋 外来トーク例

吸えないイライラは、ニコチンが切れた状態です」——原因と結果を分けて話す

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生活指導の枠を超えるサインWHEN TO REFER

こんなときは、
薬を出す前に相談する


1不安定な心血管病態

3か月以内の心筋梗塞やPCI直後は禁忌

2妊婦・授乳婦

パッチは禁忌。産科と連携する

3血痰・体重減少

重喫煙歴なら肺癌・COPDも評価

4貼付中も喫煙が続く

薬を足さずにいったん整理する

📋 インスリン使用中は、禁煙で用量調節が要ることがある
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まとめSUMMARY

今日の3つの持ち帰りポイント


01
支援を
差し出す

意思の有無で選別しない。説得はせず、出口だけ置いて次につなぐ

02
加熱式も
保険の対象

切り替えは禁煙ではない。それでも保険の禁煙治療は受けられる

03
体重の話を
先にする

手順書は2〜3kg、メタ解析は12か月で4〜5kg。幅が大きいと伝える

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「やめるとき、手伝えます」から

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