医知創造ラボ | 内科医向け

スタチンでも
中性脂肪が下がらない

パルモディア併用の可否と、腎機能・筋障害の実務

医知創造ラボ 監修:今村久司(脳神経内科・総合内科専門医) 2026年8月26日
今日のテーマTODAY'S POINT

TGは26.2%下がった。
イベントは動かなかった

結論

「TGが下がる」と「イベントが減る」は別問題。
一次エンドポイントのハザード比は
1.03(95%CI 0.91–1.15)でした。

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本日のアジェンダAGENDA

この動画で分かること


1
心血管予防が目的なら根拠はまだないPROMINENTが示したことと、示さなかったこと
2
先に決めるのは「何のために下げるか」膵炎予防か、ASCVD残余リスクか
3
実害は筋よりも腎に出るCKだけでなく血清Cr・eGFRをセットで追う
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⚠️

はじめにお読みください(医療従事者向け)

この動画は医療従事者向けの情報整理です。
患者さんご自身の判断には使用しないでください。
用量・禁忌・モニタリング間隔は 2026年8月時点
電子添文とガイドラインの記載に基づく整理です。
モニタリング間隔の一部は実務的な合成であり、
ガイドラインが数値で規定したものではありません。

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上乗せ前の確認BEFORE ADD-ON

まず潰す①②:採血条件と二次性


空腹時TG 150/随時TG 175 mg/dL 以上
TG 400以上と随時採血は non-HDL-C で見る
二次性脂質異常症は全脂質異常症の 30〜40%
二次性を洗う前に、フィブラートを足さない
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KEY NUMBER
10〜20%
⚠ ベースラインTGで効きが変わる

TG<150 ではほとんど動かず、TG>250 では 22〜45% 低下する

増量してもTGが動かないのは
失敗ではなく想定内

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版/Stein 1998

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DECISION FLOW

目的で、選ぶ薬が変わる


何のためにTGを下げるのか TG 500以上 TG 150〜499(随時 175〜499) 急性膵炎の予防 フィブラート系が主役になる ASCVD残余リスク まず LDL-C 目標の達成 目的をカルテに宣言してから、薬を選ぶ
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WHEN TO REFER

膵炎予防モードの閾値と紹介


🚑
TG 1,000 mg/dL 以上

動脈硬化専門医へ、すみやかに紹介する

🏥
空腹時TG 500 mg/dL 以上

急性膵炎の予防が目的になる。専門医への紹介を検討する

🏠
TG 150〜499 mg/dL(随時 175〜499)

ASCVD残余リスクとして扱う区間になる

随時TG が 89 mg/dL 上がるごとに急性膵炎は HR 1.17(1.10–1.24)。TG 177–265 で HR 2.3、443以上で HR 8.7。
ただし絶対発生率は最高区分でも 12件/1万人年。相対リスクと絶対リスクは必ずセットで説明する。

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データで見るDATA

PROMINENT が示したこと


−26.2%
−25.8%
−25.6%
−27.6%
+4.8%
TGVLDL-CレムナントCapoC-IIIapoB(上昇)

n=10,497(2型糖尿病・TG 200–499・HDL-C≦40、スタチン下 LDL-C 中央値78、追跡中央値3.4年)。
棒の高さは変化率の絶対値。狙った脂質はすべて下がり、apoB だけが上がった。
それでも一次エンドポイントは HR 1.03(95%CI 0.91–1.15)で動かなかった。

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解釈の鍵WHAT IT DID NOT SHOW

PROMINENT が示さなかったこと


TG は −26.2%
中性脂肪もレムナントも、
狙いどおり下がった
apoB は +4.8%
粒子数は減っていない。
これが解釈の鍵になる

対象は TG 200–499 mg/dL。TG 500以上は試験対象外で、
膵炎予防目的は否定されていない
信頼区間の下限でも 0.91。臨床的に意味のあるイベント低減は、ほぼ否定されている。

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TIMELINE

「併用禁忌」は二段階で解除された


2018年
10月16日・23日
2022年
9月27日
2022年
10月12日
📄
🔍
改訂指示

[原則禁忌][原則併用禁忌]を削除し
[重要な基本的注意]へ移行
(パルモディア錠も対象)

審議

薬事・食品衛生審議会
安全対策調査会で
ペマフィブラートを検討

通知

厚生労働省通知で
ペマフィブラートの
腎機能障害の禁忌を削除

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LABEL

「解除」は自由化ではない

"

腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる
患者に、本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を
併用する場合には、治療上やむを得ないと
判断される場合にのみ併用すること

— [重要な基本的注意](2018年10月の改訂で移行し、現在も有効)

シンバスタチン併用時は 10 mg/日 を超えないという上限も付く

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腎機能別の選択COMPARISON

腎機能低下例では使える薬が変わる


薬剤腎機能に関する電子添文の規定
ペマフィブラート腎機能に関する禁忌なし。eGFR 30 mL/min/1.73m² 未満は
低用量で開始するか投与間隔を延長。最大 1日 0.2 mg
フェノフィブラート血清Cr 2.5 mg/dL 以上、または CCr 40 mL/min 未満は禁忌
ベザフィブラート血清Cr 2.0 mg/dL 以上は禁忌

ガイドライン2022年版の禁忌記載は改訂前。現行の運用は電子添文に従う。
第4相(高度腎障害・透析例21例): 12週投与後の AUCτ は eGFR 30–60 の群と同等(幾何平均比 0.92)。
ただしPROMINENTでは腎有害事象が多く報告された。「使える」は「安全」ではない。

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COMMON MYTH

よくある誤解:シスタチンC


シスタチンCを測れば、見かけのCr上昇か分かる

実測GFRは落ちていない。それでも
シスタチンCもCrと並行して上昇する

イヌリンクリアランスは不変(Δ0.8 mL/min、95%CI −10.5〜12.2、P=0.9)だった一方で、
血漿シスタチンCは Δ+0.18 mg/L(95%CI 0.03〜0.34、P=0.02)上昇していた。
別コホートでも上昇率の中央値は Cr 15.1%、シスタチンC 9.9% で、判別の道具にはならない。

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STEP BY STEP

上がった Cr をどう扱うか


1
📝STEP 1(判断)
他に原因がなく血清Cr が 30% 上がったら、
中止を検討する(専門家意見)
2
🩺STEP 2(中止後)
中止6〜8週後に再検する。ACCORD では中止51日後に
Cr 1.11→0.97、eGFR 68.4→77.8 に戻り、
プラセボ群と有意差はなくなった
3
🏥STEP 3(再検後)
戻らない例もある。中止後の報告では24例中18例が回復し、
6例(全例が移植レシピエント)では非可逆だった
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実害の出どころMUSCLE VS KIDNEY

実害は、筋よりに出る


ACCORD-Lipid併用群スタチン単独群
CK>基準上限の10倍10例(0.4%)9例(0.3%)
eGFR低下による減量440例(15.9%)194例(7.0%)
eGFR低下による中止66例(2.4%)30例(1.1%)

フェノフィブラート併用 vs シンバスタチン単独。一次エンドポイントは HR 0.92(95%CI 0.79–1.08)。
CK の基準値は男性 50–200/女性 40–170 IU/L。開始後は初回4週後を目安に確認する。
CKだけを追うと見落とす。血清Cr・eGFR をセットで追う設計にしておく。

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EVIDENCE

先に置くのはイコサペント酸エチル


REDUCE-ITIPE 4 g/日 vs 薬用鉱物油
HR 0.7595%CI 0.68–0.83
RESPECT-EPAIPE 1,800 mg/日・日本人
HR 0.7995%CI 0.62–1.00, P=0.055
STRENGTHEPA+DHA 4 g/日 vs コーン油
HR 0.9995%CI 0.90–1.09
PROMINENTペマフィブラート vs プラセボ
HR 1.0395%CI 0.91–1.15

棒はハザード比の点推定。対照薬が異なり4本を横並びで比較できない。エパデールは 1日2,700 mg まで。
REDUCE-IT の対照は薬用鉱物油。付随研究では鉱物油群の hsCRP が試験終了時に群間差38.5%。
心房細動も説明する。REDUCE-IT:AF/粗動入院 3.1% vs 2.1%/RESPECT-EPA:新規AF 3.1% vs 1.6%。

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ALGORITHM

外来で上から順に使う


1 採血条件を確認:空腹時TG 150/随時TG 175 mg/dL 2 二次性を洗う:TSH・fT4/HbA1c/eGFR・尿定性/γ-GT/薬剤歴 3 目的を宣言:500以上=膵炎予防、150〜499=ASCVD残余リスク 4 スタチンの限界:TG低下は 10〜20% にとどまる 5 目標を確認:non-HDL-C は「LDL-C目標+30 mg/dL」が原則 6 ここで初めて、上乗せを検討する モニタリング:開始前・開始4週後・半年で2〜3回・以後3〜6か月ごと
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まとめSUMMARY

今日の要点


01
根拠はまだない

心血管予防が目的なら、
上乗せの根拠はまだない。
ハザード比は 1.03。

02
目的を先に宣言

TG 500以上は膵炎予防、
150〜499(随時175〜)は
残余リスク。薬が変わる。

03
見張るのは腎

eGFR低下による減量は
15.9% vs 7.0%。
CKだけでなく
血清Cr・eGFRも追う。

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