外来患者指導シリーズ第29弾

緊張型頭痛・
肩こり頭痛のセルフケア

「肩こりのせい」に
してしまう前に

医知創造ラボ 監修:今村久司(脳神経内科・総合内科専門医)
今日のテーマTODAY'S POINT

「肩こりのせい」ではなく
3つの外来手順

結論

1問を聞く、薬は週2〜3日まで、肩こりと決めつけない——この3つです

医知創造ラボ02
この動画でわかることAGENDA

本日のアジェンダ


1
その診断は本当か日常動作の1問、触診でわかること、緊張型頭痛の3つの型
2
薬の線引き週2〜3日のライン、急性期薬の選択肢、予防に切り替える線
3
肩こりと、どう付き合うかGLの全文検索の結果、非薬物療法の格付け、受診の目安
医知創造ラボ03

CHAPTER

第1章

「肩こり頭痛」と言う前に

05
本弾の核心Tepper 2004 / ICHD-3

「歩くと悪化しますか」を
必ず1問聞く


専門家パネルが患者の頭痛日記を読み直した研究があります。

  • Tepper 2004(15か国・1,203人)=非片頭痛と診断された82%が片頭痛(48%)または疑い(34%)
  • 新規の片頭痛診断は98%が正しかった
  • 対象は反復性の一次性頭痛で受診した患者。健診集団ではない
  • ICHD-3基準C=4項目中2項目以上。④「歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない」片頭痛を疑うサイン
  • 絶対条件は基準D=悪心・嘔吐なし/光過敏か音過敏は一方のみ
  • 迷ったら頭痛ダイアリーを2週間渡す
📋 外来トーク例

歩いたり階段を上がったりすると、ひどくなりますか」を必ず聞く

医知創造ラボ05
06
実務ICHD-3 日本語版

触って確かめる
頭蓋周囲の圧痛


触診は、緊張型頭痛の説明を価値あるものにする手がかりです。

  • 触診部位は7筋=前頭筋・側頭筋・咬筋・翼突筋・胸鎖乳突筋・板状筋・僧帽筋
  • 第2指と第3指を小さく回転させて動かし、強く圧迫を加える
  • 各筋肉で0〜3のスコアをつけ、合計して総圧痛スコアを出す
  • ICHD-3=「頭蓋周囲の圧痛の増強は最も重要な異常所見
  • 圧痛は非発作時にもみられ、頭痛の強さと頻度とともに増強する
📋 ICHD-3の一文

触診は治療戦略に関する有用な手引きとなり、患者への説明をさらに価値あるものにする

医知創造ラボ06
07
分類ICHD-3 日本語版

緊張型頭痛の3つの型と
治療の対象


頻度の基準(ICHD-3)治療の対象か
稀発反復性1か月に1日未満(年間12日未満)通常、治療の対象とはならない
頻発反復性3か月を超えて1か月に1〜14日支障があれば治療が必要
慢性3か月を超えて1か月に15日以上治療が必要。40.5%が生活に支障
📋 GL2021の一文

頻発反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛で、日常生活に支障をきたす場合には治療が必要

医知創造ラボ07

CHAPTER

第2章

薬を、どこまで許すか

09
本弾の核心GL2021 CQ III-5 / ICHD-3

急性期薬は
「週2〜3日」で線を引く


「痛くなったら飲んでいい」で終わらせず、数え方をその場で渡します。

  • GL2021 CQ III-5=「1週間のなかで2〜3日以上の使用は避けることが大切
  • CQ III-4=1週間で2〜3日使用でMOHの可能性(確実性A)
  • ICHD-3のMOH基準は月単位(トリプタン・オピオイド等は月10日以上/非オピオイド系鎮痛薬は月15日以上・いずれも3か月超)
  • ICHD-3自身=「使用日数は正式なエビデンスではなく専門家の意見に基づく
  • ICHD-3=「MOHのパンフレットのみでしばしば十分
📋 外来トーク例

週に2日まで。3日を超えたら予防に切り替えます

医知創造ラボ09
10
急性期治療薬GL2021 表1 / EFNS 2010

急性期薬の選択肢と、
やらないこと


薬剤位置づけ
アセトアミノフェン500〜1,000mg/回(確実性A)。2時間後pain freeのNNT22
NSAIDs(イブプロフェン等)確実性A。イブプロフェン400mgのNNT14
トリプタン・筋弛緩薬・オピオイドEFNSガイドラインで推奨されていない
チザニジン確実性B。適応外使用が保険上認められている
エチゾラム主要評価項目で有意差なし。頓用のみ、連用は不可
📋 Cochraneの結論

アセトアミノフェン1000mgは「a small benefit」——そこそこ効く人がいる、という水準

医知創造ラボ10
11
予防療法GL2021 CQ III-4・III-6

予防に
切り替える線


対象は頻発反復性緊張型頭痛と、慢性緊張型頭痛です。

  • 第一選択はアミトリプチリン(確実性A)。10mgから開始、30mgまで増量可
  • 表2の用量は5〜75mg/日。本文と表、両方を伝える
  • Jackson 2017=頭痛頻度をプラセボより−4.8回/月減らす
  • 再評価の目安=6〜12か月または3か月(最大6か月)の2通り
  • SSRIは推奨しない。プラセボとも差がなかった
📋 支払基金 事例275

アミトリプチリンは片頭痛・緊張型頭痛への処方を審査上認める

医知創造ラボ11

CHAPTER

第3章

肩こりと、どう付き合うか

13
本弾の核心GL2021 全文検索 / Ashina S 2015

「肩こりが原因です」は
GLに書いていない


ガイドラインのPDFを、実際に全文検索して確かめました。

  • GL2021 CQ III-2=「危険因子や誘因に確定されたものはない
  • GL全体で「肩こり」は3か所のみ。緊張型頭痛の章は1か所
  • ICHD-3の緊張型頭痛の章の本文中に「」という字は0回(触診部位の僧帽筋は1回)
  • Ashina S 2015=頸部痛は片頭痛76.2%/緊張型頭痛88.4%
  • 因果の向きはいずれの資料でも示されていない
📋 外来トーク例

首や肩の張りは頭痛と一緒に出やすいものです。ほぐすと楽になる人はいますが、それだけで治るとは限りません

医知創造ラボ13
14
非薬物療法GL2021 CQ III-7

非薬物療法を
「格付けどおり」に出す


治療法エビデンスの確実性
筋電図バイオフィードバック療法確実性A
頭痛体操確実性B(運動プログラム全体は確実性C)
認知行動療法(マインドフルネス)確実性C
リラクセーション法・鍼灸確実性C
脊椎整復有効な効果は得られておらず推奨されない
📋 マインドフルネスの実際

Anheyer 2019(5RCT・185人)=頭痛頻度SMD 0.00、usual careと差なし

医知創造ラボ14
15
生活指導の枠を超えるサインWHEN TO REFER

こんなときは、
専門的な評価を先に


大前提:SAH患者の12%が初診で誤診/最多の誤診名は「片頭痛または緊張型頭痛」

1突然発症の雷鳴頭痛

1分以内にピークに達する頭痛。即日画像

2いつもと違う・新規発症

65歳以降の新規発症も含む

324時間未満で連日の頭痛に

NDPHを疑う。慢性緊張型頭痛と呼ばない

4頭痛が月15日以上

慢性緊張型頭痛・MOHの重なりを整理

📋 「軽そうに見える」は除外根拠にならない
医知創造ラボ15
16
まとめSUMMARY

今日の3つの持ち帰りポイント


01
1問を
必ず聞く

「歩くと悪化しますか」を確認し、片頭痛の取りこぼしを防ぐ

02
週2〜3日で
線を引く

急性期薬はカレンダーに◯。3日を超えたら予防に切り替える

03
肩こりと
決めつけない

関連はあるが、原因と決まったわけではないと伝える

医知創造ラボ16

「肩こりのせい」で終わらせない外来へ

📄

解説と出典はブログへ

概要欄からブログ記事ご覧ください

📋

患者配布用ハンドアウト

外来でそのまま使える
配布資料を用意しています

👍

高評価・チャンネル登録

次回もお楽しみに

この動画は一般的な情報提供です
最後までご視聴いただきありがとうございました
高評価とチャンネル登録をいただけると励みになります