医師が採点するアンチエイジング 第6回

断食・カロリー制限で老化は遅れる? 医師の採点とやること

2026年10月1日時点の研究と公的資料に基づく一般向けの資料です。
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ことば カロリー制限:栄養が足りる範囲で、ふだんより少なく食べること1。/時間制限食:1日のうち食べる時間を区切る方法。16時間断食もその1つ。/除脂肪量:体重から脂肪を除いた重さ。筋肉の量の目安。/代理の指標:寿命や病気の代わりに測る検査値など。

判定
まだ分からない
検査値は良くなったが、老化と寿命は人で確かめられていない
物差し採点理由
①根拠の強さB人の2年の試験で、体重とコレステロール・血圧などの検査値が良くなった2。老化対策として寿命を確かめた人の試験は、調べた範囲では見つからない
②効果の大きさ小老化の目印の変化は小さく、ほかの老化時計は変わらなかった3
③安全性中除脂肪量と骨密度が減り、中止した人もいた(補助剤と検査つきの試験で)4,5,6
④費用・手間中お金は要らないが続けにくい。手厚い支援があっても、減らせた量は目標の半分ほど1,2

①根拠の目盛り:A=ヒトの試験で病気や死亡などが減った/B=ヒトの試験で検査値や体の機能が良くなった/C=観察研究や小規模な試験まで/D=動物や細胞のみ。この採点はこのチャンネルの物差しによるもので、診療ガイドラインではありません。

16時間断食の試験で分かったこと
  • 16時間断食と1日3食で、体重の減り方に差がなかった7
  • 食べる量を減らしたうえで時間を区切っても、上乗せはなかった8
  • 多くの試験で、時間を区切っても差は出にくい9
始める前に相談が要る人
  • 糖尿病の薬を使っている人(低血糖の危険)10
  • 65歳以上で、やせ気味の人11
  • 妊娠中・授乳中の人、摂食障害の経験がある人11,12

「8時間以内の食事は危ない」は本当? 2日分の食事の聞き取りを、その後の死亡と結びつけた観察研究で、原因かどうかは分かっていません13。何も食べない断食(全飢餓療法)は、日本肥満学会が「危険」としています12。

今日からやること

  1. 若返りや長生きを目的に、厳しい断食を始めるのは見送ってください。
  2. 「いつ食べるか」より「どれだけ食べるか」。自分が続けやすい方法で、食べ過ぎないようにしましょう。
  3. 食べる量を減らすと、筋肉や骨も減ることがあります。筋トレも続けましょう。
  4. 持病のある人、糖尿病の薬を使っている人は、始める前に主治医に相談してください。
  1. Ravussin E, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015;70(9):1097-104. PMID 26187233
  2. Kraus WE, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019;7(9):673-683. PMID 31303390
  3. Waziry R, et al. Nat Aging. 2023;3(3):248-257. PMID 37118425
  4. Das SK, et al. Am J Clin Nutr. 2017;105(4):913-927. PMID 28228420
  5. Villareal DT, et al. J Bone Miner Res. 2016;31(1):40-51. PMID 26332798
  6. Romashkan SV, et al. Oncotarget. 2016;7(15):19124-33. PMID 26992237
  7. Lowe DA, et al. JAMA Intern Med. 2020;180(11):1491-1499. PMID 32986097
  8. Liu D, et al. N Engl J Med. 2022;386(16):1495-1504. PMID 35443107
  9. Semnani-Azad Z, et al. BMJ. 2025;389:e082007. PMID 40533200
  10. 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024(第3章・第5章).
  11. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版).
  12. 日本肥満学会. 肥満症診療ガイドライン2022(第5章・第8章).
  13. Chen M, et al. Diabetes Metab Syndr. 2025;19(7):103278. PMID 40849219

一般的な医学情報で、個別の診断・治療に代わるものではありません。人の2年の試験(CALERIE)は、太っていない21〜50歳の米国の人が対象です2。