医師が採点するアンチエイジング 第1回

NMNで若返る? 医師の採点とやること

2026年9月27日時点の研究と公的資料に基づく一般向けの資料です。
特定の商品は扱いません。利益相反(商品を売る会社とのお金などのつながり)もありません。

ことば NMN(エヌエムエヌ):若返りをうたうサプリに使われている成分。食品にもごく少量ふくまれる。/NAD+(エヌエーディープラス):細胞がエネルギーを作るときなどに使われる物質。NMN は体の中でその材料になる。/試験:くじ引きで2つの組に分け、偽薬(見た目は同じで成分の入っていないもの)と比べる研究(ランダム化比較試験)。

判定
まだ分からない
今のところ、若返りを示す確かな根拠はない
物差し採点理由
①根拠の強さCヒトの試験はあるが、小規模で短期。まとめた解析でも、筋肉量・握力・体重・血糖・脂質などの主な指標は改善していない1-5
②効果の大きさなし・不明体重・血糖・脂質・筋肉量・握力などは改善しなかった4,5。持久力が良くなったとする解析もあるが、短い試験が中心で、まだ確かでない7
③安全性中最長24週までの小規模な試験では副作用の増加なし。長く飲んだときの安全性は、まだ確かめられていない5
④費用・手間高1日あたり数百円〜数千円の例。月に1万円を超える例も

①根拠の目盛り:A=ヒトの試験で病気や死亡が減った/B=ヒトの試験で検査値や体の機能が良くなった/C=観察研究や小規模な試験まで/D=動物や細胞の研究だけ。この採点はこのチャンネルの物差しによるもので、診療ガイドラインではありません。

分かったこと
  • ヒトの試験で、血液中の NAD+ は増える2
  • 最長24週までの小規模な試験では副作用の増加はなく、12週までの試験では肝臓の検査値も上がらなかった5
分からないこと
  • 病気が減る・長生きできること(ヒトの比較試験で確かめた研究はまだない)
  • それより長く飲んだときの安全性

広告の「NAD+ が増える」「生物学的年齢が下がる」は、体の中の途中の値や、血液検査から計算した推定値の話です。「上がる」と「若返る」は別の話です。年齢による体の衰えがやわらぐといった結果は動物の研究で、ヒトで同じことが起きるとは限りません。日本では、NMN は2020年の厚生労働省の通知で、薬のような効き目をうたわなければ、医薬品とは判断しない成分の一覧に入りました。薬として効き目が認められたわけではありません6。

今日からやること

  1. 若返りを目的に、NMN を新しく買い足す必要はありません。
  2. すでに飲んでいる人は、費用と、目的にしていたことが本当に変わったかを見直しましょう。
  3. 薬を飲んでいる人・治療中の人は、医師や薬剤師に相談してください。
  4. 持病の治療を、NMN に置き換えないでください。
飲んでいる人の見直しメモ(次の受診に持っていけます)
  1. Yoshino M, et al. Science. 2021;372(6547):1224–1229. PMID 33888596
  2. Igarashi M, et al. NPJ Aging. 2022;8(1):5. PMID 35927255
  3. Yi L, et al. GeroScience. 2023;45(1):29–43. PMID 36482258
  4. Prokopidis K, et al. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2025;16(3):e13799. PMID 40275690
  5. Yang W, et al. Nutrients. 2026;18(14):2251. PMID 42514320
  6. 厚生労働省. 食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号)
  7. Gao Y, et al. Front Nutr. 2026;13:1890335. PMID 42774067

一般的な医学情報で、個別の診断・治療に代わるものではありません。費用は国内の販売価格の例(2025年10月掲載)で、商品により大きく違います。