医師が採点するアンチエイジング 第3回

日焼け止めで肌の老化は防げる? 医師の採点とやること

2026年9月29日時点の研究と公的資料に基づく一般向けの資料です。
特定の商品は扱いません。利益相反(商品を売る会社とのお金などのつながり)もありません。

ことば 光老化:紫外線を中心とした日光による肌の老化。年齢による老化の上に重なって起こる1。/SPF・PA:日焼け止めの表示。SPFは主にB波による日焼け(赤くなること)を防ぐ力、PAはA波を防ぐ力(A波・B波は紫外線の2種類)。/試験:くじ引きで組に分けて結果を比べる研究(ランダム化比較試験)。

判定
効く
毎日塗れば、肌の老化の進みを遅らせる。今あるシワやシミを消す効果は確かめられていない
物差し採点理由
①根拠の強さBヒトの試験で、肌の老化の測定値の進みが抑えられた。ただし中心となる試験は1本。皮膚がんは試験の結果が割れていて、確かとまでは言えない3,4,5,6
②効果の大きさ中毎日塗った人は4年半、老化の進みが検出されなかった。進みを遅らせる効果で、今あるシワやシミを消す効果は確かめられていない3
③安全性高4年半毎日塗った試験の著者は、害となる影響はなかったとしている4。かぶれや刺激は珍しくないが、多くは刺激によるもの7。成分が血液に入ることの意味はまだ分かっていない8
④費用・手間安ふだんの生活なら、それほど数値の高くないもので十分2。手間は毎日塗ることと、塗り直し

①根拠の目盛り:A=ヒトの試験で病気や死亡などが減った/B=ヒトの試験で検査値や体の機能が良くなった/C=観察研究や小規模な試験まで/D=動物や細胞のみ。この採点はこのチャンネルの物差しによるもので、診療ガイドラインではありません。

試験で示されたこと
  • 毎日塗った人は4年半、老化の進みが検出されなかった(好きなときに塗る人より24%少ない)3
確かめられていないこと
  • 今あるシワやシミを消す効果(比較なしの研究まで)9,10
  • 皮膚がんが確かに減ること(結果が割れている)4,5,6

24%は「肌が24%若く見える」という意味ではありません。皮膚のきめの進み方を統計の指標で比べた差で、比べた相手は「塗らない人」ではなく「好きなときに塗る人」です。SPFはたっぷり塗って測った値で、実際に塗る量はその半分以下のことが多く、量が少ないと防ぐ力は表示よりずっと下がります2,11。

今日からやること

  1. 1年を通して、毎日、外に出る前に塗ってください。鼻の頭や肩など、日に当たりやすいところは念入りに。1,2
  2. 量はたっぷり。顔は、液状なら1円玉1個分(クリームならパール粒1個分)を2回重ねます。2
  3. 汗をかいたりふいたりしたら塗り直します。目安は2〜3時間おきです。2
  4. ふだんの生活なら、それほど数値の高くないもので十分です。SPFとPAの両方の表示を確かめ、帽子や日傘も組み合わせてください。1,2
  5. かぶれやすい方は、散乱剤(紫外線を跳ね返す成分。酸化亜鉛・酸化チタン)だけのものを選ぶ方法があります2。赤みやかゆみが続くときは、皮膚科に相談してください。
  1. 日本香粧品学会. 皮膚の光老化とその予防に関するコンセンサスステートメント. 日本香粧品学会誌. 2017;41(3):240–243.
  2. 環境省. 紫外線環境保健マニュアル2020(2020年3月改訂版).
  3. Hughes MC, et al. Ann Intern Med. 2013;158(11):781–790. PMID 23732711
  4. Green A, et al. Lancet. 1999;354(9180):723–729. PMID 10475183
  5. Green AC, et al. J Clin Oncol. 2011;29(3):257–263. PMID 21135266
  6. Sánchez G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2016;7(7):CD011161. PMID 27455163
  7. Foley P, et al. Br J Dermatol. 1993;128(5):512–518. PMID 8504041
  8. Matta MK, et al. JAMA. 2019;321(21):2082–2091. PMID 31058986
  9. Randhawa M, et al. Dermatol Surg. 2016;42(12):1354–1361. PMID 27749441
  10. Mizuno M, et al. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2016;9:95–105. PMID 27217789
  11. Petersen B, et al. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2014;30(2-3):96–101. PMID 24313722

一般的な医学情報で、個別の診断・治療に代わるものではありません。中心となる試験の対象は55歳未満で、日差しの強いオーストラリアの住民です。