✚ 論文インフォグラフィック

後天性脳損傷のあとに
てんかんはどれだけ起こるか

外傷・出血・虚血・感染の4タイプを横断比較した 120研究のメタ解析
Thompson J, Vasefi M. Epilepsy Research 2026;225:107824

14タイプすべてで、てんかんリスクが有意に上昇

後天性脳損傷(ABI)4タイプは、いずれも「その後のてんかん」と有意に関連した(統合オッズ比)。

🤕
TBI外傷
2.28
2.14–2.43
🩸
HBI出血
1.53
1.43–1.63
全体で最強
🧠
IBI虚血・梗塞
2.40
2.17–2.65
🦠
IrBI感染・免疫
1.19
1.14–1.25
2最大のメッセージ:「病因」より「部位」

虚血では 原因の分類は効かず、病変の場所(皮質に及ぶか) がリスクを決めた。

✗ 病因別(TOAST)— すべて非有意

  • ラクナ/小血管 1.68
  • 心原性塞栓 0.80
  • 大血管アテローム 1.52

✓ 部位別 — 皮質に及ぶほど高リスク

  • 皮質 2.99/ACA 1.77/MCA 1.50(有意)
  • PCA 0.95(非有意)
  • 出血も同様:ICH 2.03・SAH 1.47・SDH 1.54IVH・EDH は非有意
鍵は 「損傷が大脳皮質に及ぶか」 ── 深部(IVH・EDH・PCA・ラクナ)は相対的に低い
3感染は「サブタイプ」で桁違い

全体ORは1.19と低く見えるが、中身を分けると一部が突出して高い。

ウイルス性脳炎
7.37
脳膿瘍
5.54
頭蓋内感染
3.30
細菌性髄膜炎
2.15
⚠ 全体OR 1.19 は 巨大な行政データ(OR≒1)が重みを独占 した平均値。「感染は弱い」と丸めて読むと、ウイルス性脳炎・脳膿瘍の高リスクを見落とす。
!数字を読むときの注意
予測区間はどれも1をまたぐ研究間のばらつきが大きく(I²≈91%)、次の1研究では「関連なし」もありうる。
オッズ比は上振れしやすいてんかんのように頻度が高い(最大80%)と、ORは相対リスクを大きめに見せる。
出版バイアスあり出血・梗塞・感染で非対称が有意。推定値はやや高めの可能性。
サブ層別は研究数が少ない2〜8研究と薄く、同じ研究が重複登場。「部位>病因」は魅力的だが確定ではない。
🩺臨床のテイクホーム
  • 皮質に及ぶ脳梗塞・脳出血、SAH/SDH、ウイルス性脳炎、脳膿瘍は、長期のてんかんサーベイランス対象。
  • 後天性脳損傷は「急性イベント」ではなく 長期のてんかんリスクマーカー。退院時に「数か月〜数年あとに発作が出ることがある」と本人・家族へ共有を。
  • 数字は確定値ではなく、「誰を追跡すべきか」の地図 として使う。
医知創造ラボ 出典:Thompson J, Vasefi M. Epilepsy following acquired brain injury: A systematic review and meta-analysis. Epilepsy Research 2026;225:107824. doi:10.1016/j.eplepsyres.2026.107824