ICHISOUZO MEDICAL INFOGRAPHICS ガイドライン2025・添付文書準拠
脳卒中急性期の降圧 実践マスターガイド 医療従事者向け
脳梗塞・脳出血に共通する「ニカルジピン持続静注」の換算計算・安全な増減・内服移行プロトコル
1 病型による目標値の違いと共通する実務
🧠 脳梗塞急性期(permissive hypertension)
非再灌流: 原則下げない(>220/120 mmHgのみ慎重考慮)
rt-PA投与前: <185/110 mmHg / 投与後24h: <180/105 mmHg
血栓回収後: 速やかに<180 mmHg(<140 mmHgへの過降圧は避ける)
🩸 脳出血急性期(血腫拡大予防)
目標: SBP 140 mmHg未満を目指す(INTERACT2)
下限: SBP 110 mmHg未満は腎障害・有害帰結リスク(ATACH-2)
実務: 第一選択薬・希釈計算・増減手順は脳梗塞と共通
2 ニカルジピン持続静注の計算式・早見表
💡 基本公式(添付文書ルール)
開始量: 0.5 µg/kg/分(=0.03 mg/kg/時)
上限量: 6.0 µg/kg/分(=0.36 mg/kg/時)
希釈濃度: 0.1 mg/mL(10倍)または 0.2 mg/mL(5倍希釈)
⚡ 暗算ショートカット(開始速度 mL/時)
0.2 mg/mL希釈(5倍): 体重(kg) × 0.15 mL/時
0.1 mg/mL希釈(10倍): 体重(kg) × 0.30 mL/時
※ 例: 60kgなら 0.2mg/mLで 9 mL/時、0.1mg/mLで 18 mL/時
体重 開始投与量 (mg/時) 0.2 mg/mL希釈 (5倍) 0.1 mg/mL希釈 (10倍) 最大投与量 (mg/時)
50 kg 1.5 mg/時 7.5 mL/時 15.0 mL/時 18.0 mg/時
60 kg 1.8 mg/時 9.0 mL/時 18.0 mL/時 21.6 mg/時
70 kg 2.1 mg/時 10.5 mL/時 21.0 mL/時 25.2 mg/時
80 kg 2.4 mg/時 12.0 mL/時 24.0 mL/時 28.8 mg/時
3 安全な増減調整と偽高血圧の除外
📈 増量ステップ
・血圧測定は5分毎
・5〜15分間隔で 0.5〜1.0 mg/時ずつ増量
・急激な血圧低下を避ける
⚠️ 増量前の6大チェック
① 膀胱充満・尿閉
② 疼痛・悪心
③ 不安・不穏
④ カフサイズ不適合
⑤ ルート漏れ・屈曲
⑥ シリンジ残量不足
📉 減量・離脱ステップ
・目標達成後は維持
・安定後 0.5〜1.0 mg/時ずつ段階的に減量
・SBP 110未満または目標下限到達で直ちに減量/停止
4 経口移行(内服切り替え)の4ステップ
🛡️ 内服開始の必須前提条件
・発症24〜48時間以降、神経症状が安定
嚥下機能評価(MWST / 改訂水飲みテスト等)に合格
・※ 誤嚥リスクがある場合は経胃管または静注継続
🔄 オーバーラップ移行手順
① 長時間作用型CCB(アムロジピン等)を開始
② 内服薬の血中濃度立ち上がりまで2〜4時間静注を併用
③ 血圧安定を確認しながらニカルジピン静注を段階的に漸減・中止

【参考文献・エビデンス】 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕(日本脳卒中学会)rt-PA静注療法適正治療指針 第三版ペルジピン電子添文(PMDA)/Powers WJ, et al. Stroke 2019/Greenberg SM, et al. Stroke 2022/ATACH-2 (NEJM 2016)/INTERACT2 (NEJM 2013)/ENCHANTED2/MT (Lancet 2022)

※ 本資料は医療従事者向けの教育・知識整理を目的としたものであり、個別の患者の診療方針を指示するものではありません。各施設の規程・プロトコルに従ってください。