医知創造ラボ

カタトニア(緊張病)とは?
見逃されやすい「治療可能な精神運動症候群」

昏迷・無動・無言・姿勢保持・拒絶症などを特徴とし、統合失調症だけでなく多様な背景に生じる独立症候群

7〜9%
精神科入院での有病率
(Solmi 2018/Bush 1996)
20.6%
身体・神経疾患下
(精神科併存なし/Solmi 2018)
10.6
発生率:エピソード/10万人年
(Rogers 2021)
統合失調症だけではない ― 気分障害・身体疾患・自己免疫疾患でも起こる
1診断基準
DSM-5 ― 12徴候のうち3つ以上
運動減少:昏迷/カタレプシー/蝋屈症/無言症
その他:姿勢保持/わざとらしさ/常同症/しかめ顔/拒絶症/反響言語/反響動作/興奮
※ 12徴候のうち3つ以上で診断(背景疾患の特定とセット)
BFCRS(Bush-Francis評価尺度)
23項目 評価尺度14項目 スクリーニング版
評価者間信頼性 r = 0.93(尺度)/0.95(スクリーニング)
↓ スクリーニング14項目中 2項目以上が陽性 → 本評価23項目へ
2治療アルゴリズム
カタトニア疑い ― BFCRSでスクリーニング
ロラゼパムテスト診断と治療を兼ねる「診断的治療」/効果発現が速い
奏効(76%)→ ベンゾジアゼピン継続
Bush 1996 II:完全試験21例中16例(76%)でカタトニア徴候が消失
無効 または 悪性カタトニア → ECTを速やかに検討
Bush 1996 II:ロラゼパム無効4例はECTに速やかに反応
⚠ 抗精神病薬は悪性化(NMS)リスクあり ― 安易な単独投与は慎重に
3悪性カタトニア/NMS 鑑別のポイント
項目悪性カタトニアNMS(悪性症候群)
誘因精神/身体疾患・自己免疫など(カタトニアの増悪)抗精神病薬(ドパミン遮断)投与後
発症数日かけて進行が多い薬剤開始後 数日以内が多い
発熱・自律神経・CK発熱あり/自律神経不安定/CK上昇発熱あり/自律神経不安定/CK著増
特徴カタトニア徴候(昏迷・姿勢保持)が前景鉛管様筋強剛が前景
🔴 レッドフラッグ(悪性化のサイン)
● 発熱 ● 自律神経不安定(血圧変動・頻脈・発汗) ● 意識変容 ● CK上昇
→ いずれか出現したら、ベンゾ高用量・ECTを速やかに検討(抗精神病薬は中止)
🛡️ 背景疾患の検索も必須

抗NMDA受容体脳炎はカタトニア様症状で発症することがある(若年女性・卵巣奇形腫との関連)。血液・CK・甲状腺・自己抗体・髄液・頭部MRI・脳波を状況に応じて組む。

出典:BAP 2023・APA 2025・Nat Rev Dis Primers 2024・Bush 1996(I/II)・Solmi 2018・Rogers 2021(いずれもPubMed照合済)

※本図は医療従事者向けの教育目的の要約であり、診断・治療を代替しません。実際の診断・治療は患者の病態・併存疾患・背景疾患をふまえ最新のガイドラインに従ってください。
解説記事:カタトニア(緊張病)の診断と治療|BFCRS・ロラゼパムテスト・ECT・悪性カタトニア