医療従事者向け
その意識障害、
本当にICANSですか?
ICANS(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群)
ICEスコア・ASTCT分類・除外診断を1枚に
結論: ICANSは除外診断です。CRS(サイトカイン放出症候群)の先行がなければ、まず他の原因を疑ってください。発症は輸注後中央値4〜6日、持続は1〜2週間が典型です。
1ICEスコアとグレード
ICEスコアICEドメインのグレード
7〜9点Grade 1
3〜6点Grade 2
0〜2点Grade 3
0点かつ覚醒不能でICE施行不能Grade 4
ICEの配点(合計10点): 見当識 4点(年・月・場所・病院)/呼称 3点(3つの物品)/従命 1点/書字 1点(1文を書く)/注意 1点(100から10ずつ減算)
2最終グレードは5ドメインの最重症で決まる
1
📝
ICEスコア
見当識・呼称・従命・書字・注意の10点満点
2
💤
意識レベル
覚醒の程度。覚醒不能ならGrade 4
3
🤲
運動症状
深部の筋力低下など。ICEスコアとは独立に評価
4
けいれん
臨床的でも脳波上のみでもGrade 3。5分以上遷延・反復で基線に戻らなければGrade 4
5
🧠
頭蓋内圧亢進・脳浮腫
局所性浮腫・びまん性脳浮腫の有無
3除外すべき5つの病態
1
🦠
敗血症性脳症・全身感染症
深いリンパ球減少と低ガンマグロブリン血症を背景に、感染は常に鑑別の上位
2
🔬
中枢神経浸潤・再発
原疾患そのものによる中枢神経病変
3
🧫
感染性脳炎(特にHHV-6)
辺縁系脳炎の像をとりうる。ICANSとの鑑別が問題になる
4
💊
代謝性・薬剤性脳症
電解質異常・肝腎機能・鎮静薬やオピオイドの影響
5
🩸
脳血管障害・PRES
凝固異常・血小板減少を伴う時期であり、出血性病変も念頭に
⚠️
画像と脳波は「逆」になる ― 脳波を撮らなければGrade 3を見逃す
頭部MRIは典型的には正常です。「MRIが正常だからICANSではない」という論法は誤りで、局所徴候があるのにMRIが正常という組み合わせは、むしろICANSらしい所見です。一方、脳波はびまん性徐波化が最頻で重症度と相関し、非けいれん性てんかん重積(NCSE)が見つかることがあります。意識障害が遷延する・ステロイドに反応しないときは脳波を検討してください。
ICANS ― CAR-T・二重特異性抗体後の神経毒性 医知創造ラボ
主な出典: Lee DW, et al. ASTCT Consensus Grading for Cytokine Release Syndrome and Neurologic Toxicity. Biol Blood Marrow Transplant. 2019;25(4):625-638. / Karschnia P, et al. Blood. 2019;133(20):2212-2221. / Santomasso BD, et al. Cancer Discov. 2018;8(8):958-971. ほか(詳細は本文の参考文献一覧を参照)
本図は医療従事者向けの情報提供であり、個別の診断・治療方針を定めるものではありません。
実際の運用は、各施設の規定と最新の添付文書に従ってください。