医療者向け臨床サマリー

点滴に加えて週1回の自己注射も選択肢に
治療のハードルはどう下がるか

レケンビ皮下注250mgペン承認|「同等」と言えるのは薬物動態の類似性まで|添付文書を一次資料に整理

何が承認されたか——用法の要点

500mg
週1回・皮下投与
2本
1回の投与でペンを使用
3cm
2本目・へそ周りは避ける距離
医師監督下
投与開始は医療施設で
「自己注射できる」=「初回から在宅で始められる」ではない。開始は医療施設・医師の直接監督下が前提で、自己投与はそこからの段階的な移行。

自己注射で通院負担はどう変わるか

88.4%
患者が静脈内投与より皮下投与を好む
43報中(文献レビュー)
30.2%
選好理由トップ「時間の節約」
次点:利便性25.6%・投与頻度27.9%
63.1日
日本の実測:初回投与までの平均日数(MRIから)
76例・45施設のレセプトデータ
患者選好・コスト推計は、いずれもエーザイ資金提供のモデル研究
著者にエーザイ社員を含み、実測値ではなくモデル推計。米国の社会的費用モデルでは4年間で1人あたり72,891〜80,925ドルの節減と推計されているが、日本の薬価・診療報酬制度に円換算して当てはめることはできない。あくまで「皮下化による利益の方向性」を示す参考値として扱う。

「同等」と言えるのはどこまでか

点滴(静脈内投与)
26.1%
Infusion reaction(重大な副作用)
皮下注(自己注射)
1.4%
全身性反応(軽度)/新たに注射部位反応13.9%が生じる
結論:「点滴と同等の効果」「非劣性」とは書けない
添付文書が示すのは、AUCss,2weeksの幾何平均比1.04[90%CI 0.991, 1.09]という薬物動態の類似性であり、臨床エンドポイントでの同等性・非劣性を検証したものではない。有効性のサブスタディ数値(CDR-SB等)は非盲検・対照なしの参考データで、しかも承認された用法(ペン500mg週1回)で新規に治療を開始した被験者のデータは、現時点で存在しない。
副作用一覧(添付文書11.2)も、承認用法での新規投与データが無いため、実際には静脈内投与由来の頻度である。

自己注射化しても、外来から消えない仕事

ApoE遺伝子検査
  • ε4ホモ接合型キャリアはARIA発現割合が高く、投与開始前に実施を考慮する
MRIモニタリング
  • 時期は点滴版と同じ(開始後2・3・6ヵ月目安)
  • 皮下注:9・13・27回目の投与前
  • 点滴版:5・7・14回目の投与前
  • 1ヵ月目安の回(皮下注5回目・点滴版3回目)は実施が望ましい
禁忌の確認
  • 血管原性脳浮腫、5個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症、1cmを超える脳出血が確認された患者は禁忌
血栓溶解療法への注意
  • ARIAは虚血性脳卒中と似た症状を示すことがあるため、血栓溶解療法の前に鑑別が必要
出典:レケンビ皮下注250mgペン添付文書 1.2/8.1.3/8.1.4/11.1.1/11.2/16.1.2/17.1.1、レケンビ点滴静注添付文書 8.1.3/詳細は本編ブログ記事の参考文献一覧を参照
医知創造ラボ | 監修:脳神経内科専門医 今村久司