止血後のアスピリンを、どう判断するか
分水嶺梗塞は梗塞がどこにあるか(分布)を述べているだけで、なぜ起きたかを述べていません。分水嶺領域に梗塞があることと、原因が純粋な低灌流であることは同義ではありません。
低灌流によって微小塞栓のwashoutが障害され、両者が相乗的に働くこともある。「分水嶺型だから血栓は関係ない」という推論は成り立たない。
心臓手術後に脳卒中を来した98例の検討。両側分水嶺梗塞例は他のパターンに比べ死亡が17.3倍。単純CTで「はっきりしない」ことは、分水嶺梗塞がないことを意味しない。
抗血栓薬を投与しても脳血流そのものは回復しない。まず脳血流を低下させている原因を是正する。
| 項目 | 目安・注意点 |
|---|---|
| 止血・循環血液量の回復 | 低血圧と循環血液量減少の是正は推奨クラスⅠ(レベルC-EO) |
| 貧血の補正 | 輸血閾値の目安はヘモグロビン8g/dL。急性周術期脳卒中・活動性出血・循環動態不安定では8〜9g/dL |
| 心拍出量の維持 | 低酸素血症・不整脈を是正し、不要な降圧を中止する |
| 血液希釈目的の容量負荷 | 推奨されない(クラスⅢ:利益なし) |
| 誘発性高血圧のアウトカム | 結果 |
|---|---|
| 7日目の神経学的改善 | 良好だった |
| 90日の機能予後 | 改善しなかった |
| 追跡MRIでの脳出血 | 昇圧群で多い(6.6% 対 0%) |
ESO血圧管理ガイドライン2025年アップデートは、再灌流療法を受けていない神経学的増悪例への昇圧薬のルーチン使用を推奨していない。
| 治療 | 位置づけ |
|---|---|
| アスピリン単剤 | 活動性出血中は保留。止血後は開始を検討する |
| DAPT | ルーチンには行わない |
| 治療量の抗凝固療法 | 低灌流そのものには不要 |
| 心房細動などへの抗凝固 | 独立した適応があれば別途判断する |
| 静脈血栓予防量 | 脳梗塞治療とは別問題として扱う |
出典:Powers WJ, et al. Stroke. 2019;50(12):e344-e418./Benesch C, et al. Circulation. 2021;143(19):e923-e946./Gottesman RF, et al. Stroke. 2006;37(9):2306-2311./Voelkel N, et al. Stroke. 2017;48(11):3034-3039./Sandset EC, et al. Eur Stroke J. 2026;11(5)./Liu C, et al. Cell Rep Med. 2026;7(2):102596.
本図は医療従事者向けの一般的な医学情報であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。
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