神経内科医がやさしく整理

サプリメントとの上手な付き合い方

食品・効果・害・役立つ場面・7つのルール ― 飲む前に知っておきたいこと

1サプリは「食品」― 保健機能食品の3分類
🏅 特定保健用食品(トクホ)1991年〜
国が個別に審査・許可。製品ごとにヒト試験で機能性・安全性を確認。3分類で最も審査が厳しい。
🌿 栄養機能食品2001年〜
規格基準型で届出不要。ビタミン・ミネラル等20成分が対象。国が定めた基準を満たせば表示可能。
📋 機能性表示食品2015年〜
国の審査なし・事業者の届出制。関与成分の文献調査が主な根拠(製品自体のヒト試験は必須でない)。「国のお墨付き」ではない。
2健康な人の予防効果は「意外と乏しい」
📋 USPSTF 2022(米国予防医学タスクフォース)
β-カロテン・ビタミンEは推奨しない(Dグレード=害が利益を上回る)。
マルチビタミンは証拠が不十分で「効く」とも「効かない」とも言い切れない
📋 VITAL試験(25,871人)
ビタミンD(2000 IU/日)もがん・心血管イベントともに有意差なし。
魚油(オメガ3, 1g/日)も主要心血管イベントを有意には減らさず。
3サプリで「害」が出ることがある
⚠️
過剰摂取リスク(脂溶性ビタミン)
ビタミンA・D・E・Kは体に蓄積しやすく、過剰摂取で害が出やすい。水溶性ビタミンは比較的尿に出るが、脂溶性は要注意。
🚬
β-カロテンで肺がん増加(CARET試験)
研究喫煙者・アスベスト曝露者が対象。肺がんの過剰発生のため予定より21か月早く中止。心血管死も増加傾向(相対リスク 1.26)。「天然成分=安全」とは限らない。
🩺
ビタミンEで前立腺がん増加(SELECT試験)
研究健康な男性35,533人。ビタミンE(400 IU/日)群で前立腺がんリスクが有意に上昇(ハザード比 1.17)。抗酸化=体に良いとは限らない典型例。
🍵
肝障害 ― 緑茶抽出物・ガルシニア
緑茶抽出物(EGCG)の高用量で肝細胞性の肝障害の報告(USP系統的レビュー)。
ダイエット系サプリ「ガルシニア」では22例中1例死亡・1例肝移植・91%入院(DILIN)。
💊
薬との飲み合わせ
ワルファリン(抗凝固薬)×ビタミンK・納豆・青汁・クロレラは効果を弱める。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は多くの薬の血中濃度を下げる。
🔴 2024年 紅麹サプリ:腎障害等の健康被害が社会問題化。これを受け2024年9月1日施行で健康被害情報の報告義務化・GMPの要件化など制度が改正された。
4サプリが「役立つ場面」もある
✅ 欠乏の補正
食事で摂れていない栄養素を補充する目的ではサプリが有益な場合がある。検査で欠乏が確認されているときは主治医と相談を。
✅ 妊娠初期の葉酸
神経管閉鎖障害の予防に有益と確認されているサプリの代表例。妊娠を希望する女性・妊娠初期に推奨されている。
⚠️ 大前提:サプリは食事の代わりにはならない。健康で食べられている人の「万能予防薬」ではなく、目的を絞った補助として考える。
5賢く付き合う 7つのルール
1
「何のために」を決める
目的が言えないサプリは一度見直す
2
主治医・薬剤師に伝える
お薬手帳に書く。飲み合わせチェック
3
成分名と「1日量」を見る
複数サプリで成分が重複しないか確認
4
過剰摂取を避ける
特に脂溶性ビタミン(A・D・E・K)
5
体調変化で中止して受診
だるさ・黄疸・尿の色・発疹など肝障害サインに注意
6
目安はトクホ/GMPマーク
「機能性表示食品=国のお墨付き」ではないと知る
7
手術・出産・持病があるときは必ず申告
手術前は中止が必要なサプリもある。持病・妊娠中・服薬中の対応は主治医・薬剤師に相談
監修:今村久司(神経内科専門医指導医・医学博士)|消費者庁・USPSTF・VITAL・SELECT・CARET・DILIN等に基づく一般向け要約

※本図は一般向けの教育・情報提供であり、診断・治療を目的とした医療行為ではありません。サプリの中止や変更は主治医・薬剤師にご相談ください。
解説記事:サプリとの上手な付き合い方 ― 医知創造ラボ